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てっぽうのページ

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M1917 Colt Cal.45

 

 

ハドソン製:モデルガン

この銃の実銃における開発経緯については、S&W製M1917の項を参照していただくとして、Coltという会社について考えてみたい。コルトと言われて最初に頭に浮かぶのがS.A.A.(シングル・アクション・アーミー)、西部を開拓した銃である。荒野の用心棒とか荒野の七人とか夕陽のガンマンとか、「西部物」「マカロニ・ウェスタン」とか呼ばれるジャンルの世界だ。射撃姿勢の基本は腰だめで、早撃ちしか価値が認められない。左手の掌で撃鉄を起こすが、右手は引き金を引きっぱなしなので、左の掌が撃鉄を外れた瞬間に撃鉄はそのまま戻って発射、次弾はすぐ左の掌が・・・という「決闘早撃ちスタイル(ファニング)」が基本。初めて買ったCMC製金属S.A.A.(アーティラリーモデル)は、度重なるファニングの繰り返しによって、シリンダーを回転させるハンドとシリンダーストップ、及びシリンダーのストッパー溝が異常磨耗、ハンマーが落ちたときにシリンダーが正規位置に止まらなくなってしまった。購入してひと月も経たないうちだったと思う。ガンベルトは高くて買えなかったので、段ボールで即席ガンベルトを製作、目の前の仮想敵と決闘を繰り返したものだ。15歳の夏。今思えば・・・今と変わらないことを当時もしてたんだなぁw 昔も今も俺馬鹿だぁ・・・と感慨深いものがある(「少しは成長しろにゃ!」by なかなかよかぬこさまばい2世君)。

西部を制したコルトは、次にM1911通常「ガバメント」で世界を制する。特に、1940年代以降のハードボイルド小説を制する。レイモンド・チャンドラーやミッキー・スピレインの小説では、準主役級、いや、ほぼ主役級の役割を果たした。スピレインの裁くのは俺だ(なんちゅう邦題w)のラストでは、親友を殺した犯人である自分の恋人の腹をぶち抜くという、21世紀の現在だったら国会で問題になりそうなシーンで使われる。スピルバーグ監督作品の「1941」の中では、キ印パイロットが五月蝿いラジオをぶち抜くシーンで使われた(この映画、スピルバーグの最初で最後のパロディ映画)。「1発で相手をぶち抜き、黙らせる」銃として、世界を征し、全世界に「1発で相手をぶち抜き、黙らせる」米国という国を知らしめた。

世界を制したコルトは、次にM16という「小口径」「アルミ製」「樹脂製」の銃を世に送り出す。アーマーライトとか異論が聞こえてきそうだが、勝者はコルトなので、「M16はコルト」という認識に何ら誤りはない。あまりクドクドと細かいことを言うと、ガバメント持った「1発で相手をぶち抜き、黙らせる」ハードボイルド主人公やキ印パイロットが送り込まれてくるので、気をつけたほうがいいw で、「小口径」「アルミ製」「樹脂製」の銃が、「4.85mm口径でこちらの方が早く開発したのに」「7.92mm短小弾で世界で一番早く実戦使用したのに」「7.62mm短小弾で1947年に正式配備しましたが」とかいいう雑音は全て排除し(ハードボイルド主人公やキ印パイロットが送り込まれたかどうかは定かではない)、「実質、世界初の次世代ライフル・・・アサルトライフルの誕生だ!!」と世界を制したわけだ。最近ではスカーとかいう清涼飲料水みたいな名前のライフルが後釜を狙ってるらしいが、くれぐれも「ガバメント手にしたハードボイルド主人公やキ印パイロットが送り込まれる」事態にだけは気をつけてもらいたいものである。

(この後、スタハチとかサエバとかいうキーワードで、ニシキヘビの異名を持つ銃がメディア上を賑わすが、それはまた後日語りで。)

「西部」「世界(ハードボイルド)」「世界(軍用ライフル)」を制したコルト。半世紀以上生きてる俺達のような人種には、遺伝子に後天的に「コルトはすごい」が刻まれてしまっている。偉大なコルト。偉大な過去を持つコルト。偉大だったコルト。DAのガバや色々出すが、どれも冴えず、今や過去形でしか語られることのないコルト。そつなく優秀な製品ばかり世に出す某シグとか某エッチケイとかのエリートメーカーより、なんか人間臭くて、実力あるのに要領悪いイメージのコルト。俺は大好きだ。

そんな歴史(どんな歴史?w)を背景に、俺はハドソン製コルトM1917Cal.45を手にした。このモデルガン、発売は俺が高校生の頃。新発売されたことをGUN誌で知り、マグナム全盛の時代(M29、オートマグ、ブラックホーク全盛の時代)に、敢えて大戦期の非マグナム銃を出すハドソン社の勇気を褒めたたえたものだ。当然、そんなハドソン社を「売れるか!バーカ!!」と馬鹿にした。・・・事実その通りだったようで、あまり売れなかったらしい。が、マグナムほどの破壊力もなく、ガバメントなら8連発可能なのにリボルバーなので6連発しかできないクセに、図体だけはガバメントより大きくかさばる、そんなM1917に妙な魅力を感じたのも事実だ。実際、当時の自分の購入希望リストの第4位を得ている(5位:MGC製ステンマーク3、3位:CMC製M29の8.62インチ、2位:MGC製スターリング短機銃、1位:MGC製MP40、以上当時の世界史のノートよりw)。が、実際このリストの上位4位までが購入されることはなく現在に至っている。特に1位と2位はもう絶対に入手不能なので、当時の自分を未だに責めている。

その時代から30年以上経ち、大戦期の軍用銃を集め出してから、いよいよこのM1917 by COLTの占める重要なポストが、明確に見えてきた。見えてきた頃には、市場に新品はなく、絶版。さすがのハドソンも「売れなかった」失敗から学び、再版されることもなかった。結局、当時新品で1万円前後だったこの銃を、俺はオクでその2.5倍のコストを以てして落札しなければならなくなった次第である。リボルバーのコクサイと威張ってるんなら、なぜこの銃を出さない!? MP18とかM1903とか新規の珍銃だしてる会社がなぜこの銃を出さない? ・・・言いがかりと思われるかも知れないが、事実言いがかりであるw それほど俺はこの銃が欲しかったのだから、そのへんの事情を悟って、タナカがS&WのM1917の次に出すべきだと思うが反対は許さない。

ハドソン製M1917、初代はSM規格の「規制前」の銃。手に入れたのは後期型SMG規格の「遵法品」。シリンダーにスリットが入り、本体のコルトマークのすぐ下にSMGの刻印が輝くから、慌てて通報するな!!そこ!!

仕上げはハドソン製にしては丁寧な方で、メッキに映り込む風景は、それほど歪まない。作動はハドソン製の例に洩れず、シリンダーがまともに回り切らない。ということは、正常だw 久々の金属モデルガン、ずっしりと来る重みに感動。グリップアダプターも生きていて、取説と箱も上々。いい買い物をした。えらいぞ、俺!!

お約束のカートとクリップは、今の時代からはリアルさの点でもの足らない品々。カートは寸足らず、クリップはシルバー。しかも、実物よりカートが細く作ってあるので、ダミーカートが入らない。クリップにダミカ装着も無理。これは興ざめ。

最大の難点が、「エジェクション操作不能である設計」。これについては、写真の項を参照して欲しい。決して実銃の不具合ではなく、ハドソン製の不具合だ。

数々の困難にもめげず、手元において毎日磨いて愛でる、これが正しいハドソン信者。でもやはり、タナカに頑張ってほしいな。せっかくS&W製を「最高決定版!」としてモデル化したタナカのこと、コルト製も最高決定版で出してくれることだろう。

 

 

エジェクションロッドの前に何もない、コルトならではのシンプル構造。

ヨーク(コルトの呼び名はクレーン)を止めるネジは、プラグとネジ併用。凝った構造。
 

グリップアダプター付き。グリップと同じ材質、色の樹脂製。

コルトの場合、右側面には何も無い構造。これもいい感じ。

迫力のシリンダー径。

シリンダーに縦スリットが入ったSMG規格品。現行の合法品。
 

クリップが矢印部分に引っかかり、エジェクターロッド使用不能。クリップは全周を覆うので、シリンダーがどの位置でもエジェクション不能。写真の上半分のクリップ(カート)は外せるが、下半分はこの位置では外せない。さすがハドソン。

S&W製M1917と。
 

ハンマースパーの形、コルトの方が好き。