029,612
1:1

てっぽうのページ

てっぽうのことが載ってるよ。 サッカーとか液晶テレビとかの話題は他へ行ってくれよな。

TOPへ     メニューへ


L96 AWS

     
 

 

マルイ製:エアーコッキングボルトアクション

自分がこの銃をはじめて知ったのは、KTWの製品でだった。 まだ20世紀の頃の話で、定価13万円という価格は、こうした小数生産製品では珍しくない時代だった。こんな樹脂で奇妙なストックのボルトアクション銃、自分の趣味に合うわけはなく、合うわけはないのだが、合うはずがないのに・・・のに、もの凄く気に入った。が、それ以上に気に入ったKTWスパスを買う6万円がやっとの状態で、手に入れられなかった。その後、マルゼンやUTG、タナカから出たが、どうも気に入らなかった。タナカはガスなので、ボルト周りがリアルそうだったが、俺は狙撃銃はお座敷であっても「撃ち」たい。タナカのガス形式(ペガサス)は、射撃するには精度が絶望的。気温のちょっとした差で弾道が全然違ってくる。マルゼンやUTGのは、気温に左右されないエアー形式だが、エアーの量確保のために長くされたボルトのおかげで、マガジン位置が本来の位置にできない欠点があり、この点は致命的だった。実はこれはVSR-10でも感じた事で、本来マガジンが「ない」位置にBB弾マガジンが来るので、ボルトアクション特有のすらりとした銃床下部に、「実銃にはない何かのパーツ(BB弾マガジン)」が居座る事になる。これは嫌だ。この点を嫌った「日本が世界に誇るエアコキ大国のKTW」は、糸やダイヤルを使った奇妙な機構や割り箸マガジンで、「BB弾マガジン」を銃床に設けない事に成功している。でも、なんか興ざめな機構だし。

で、満を持して、MGCやCMCやタナカを凌駕し世界へ羽ばたいた我らが東京マルイが、「本来ない位置にBB弾マガジンを設けることなく、奇妙な機構で興ざめさせることなく、本来のマガジンで給弾できる」機構をひっさげた「L96 AWS」を発売したわけだ。天下の東京マルイ、中華を初めとした格安海外銃が黒船のごとく鎖国日本を襲っているこのご時世に、「最高の製品!!でも高いしw」「お手頃な価格!!でも半端だしw」のようなものは出せない。出せるわけがない。マルイがコケたら、日本のTOYガン市場に明日はない!! その意気込みの表れは、マルイの公式HPの中にもある。

殺虫剤が混入されているかもしれない怪しい中国食材じゃあるまいし、「素材・生産」が全て日本製である必要感はないと思われるのだが、わざわざ明記している裏には、氾濫する格安海外製(主にアジア)TOYガンの仁義なき攻勢があるのだと思い知らされる。がんばれマルイ!!俺は格安海外製を買いまくっているが、日本製が嫌いなわけじゃない。可能ならば、しっかりした日本製が欲しいのだが、お高い。全金属製(ボディは鉄製)全木製ストックのAKMSが1万円台で買えるこの時代、愛国心だけでは生きていけないぞ。・・・でもね、価格勝負だけだったら、日本製に勝ち目がないのは明白。海外製品の攻勢に打ち勝つには、「安くても品質が良い」という日本の伝家の宝刀、最後の切り札しか残されていない。東京マルイは、この点で未だ優位を維持している唯一のメーカーだと思う。AK74MNのときも、新型M4のときも、「次世代」と銘打ち、実際にすごい撃ち味の銃を出してきた。海外製のアドバンテージである「全金属製」をクリアしただけではなく、もう一つ上の「マルイならではの新機構」を採用してきた。

東京マルイのもう一つの「ウリ」が、「ライバルを批判しない」ことだ。例え相手が「特許侵害上等!!」の仁義なき海外製品であっても、それを批判したり、あまつさえ「そんなもの買うユーザーも同罪」のような態度を、一度も示していない。特許がらみで揉めて、最終的にユーザーに対して「うちの会社はオマエらより上!」と明確に示した某社とは大違いだ。・・・だからね、「素材・生産すべて日本製!」なんて悲しくなる(焦っていると思われる)言葉は、画面の隅っこに目立たないように入れてね、マルイさん。

今回のL96 AWS、マルイの意地を見せて、海外格安製品とも堂々と勝負できる製品に仕上がった。まず、全金属製。あたりまえだ。この時代に樹脂ボディって、考えられない。ストック。樹脂なのは当然として、さすがマルイ。表面仕上げがすごい。下品なテカテカピカピカでないのは当然として、きめが細かいつや消し仕上げ。上品で高級感漂う処理。苦労して働いて得たわずかばかりのお金をはたいて買ったことを、誇りに思える・・・誇りに思わせる表面仕上げだ。

ボルトを上げる。「カチッ!」という硬質感のある音と感触。ボルトアクションを買って良かったなぁ!!と思える瞬間。これ、意外と重要なポイントなんだが、「くにゃ〜ぁ」とした製品もあり、あまりみんな重要視しないのか?

ボルトを引く。おお、エアコキとは思えない軽さ。そりゃ、タナカのペガサスとは比べものにならないが、マルシンのアンチマテリアルライフルのような「引きはじめがちょい重く、引くに従って段々重くなり、最終段階では最大限に重くなる」ものとは異なり、「引き初めから最終段階まで平均化された重さ、しかも全体的に引きが軽い」というもの。まぁ、アンチマテリアルの方は8mmBBだから規制の関係でバネが強いのでしかたないが。それにしてもマルイの「引き」は軽い。本体やボルトの材質(亜鉛かアルミ)の強度の関係で、必要以上にクリアランスを縮められないために、クリアランス過多でガタガタした操作感のタナカのペガサスより、多少引きが(タナカと比べて)重くても、こちら(マルイ)の方が好ましい。

空撃ちする。バネが伸びたショックで「ビヨ〜〜〜ン」という情けない音を出すことなく、銃口からの「シュパッ!」という低くこもった音。かっこいい。そういえば、この銃を箱出しした時の第一印象が「バレル、太っ!!」だった。マルイHPの写真ではそうは見えないが、良く見るとこの写真、バレルの下半分が影になってるために、本来の太さの半分にしか見えないわけなんだな。


マルイHPの写真。本来のバレル下部の位置を白線で補正。

計測すると直径30mm・・・バーレットM99が32mmだからいい勝負。片や50口径弾、片や30口径弾と考えると、L96のバレルの太さが異常だと分かる。「30口径弾(.308NATO)で800mが狙える唯一の狙撃銃」というキャッチフレーズをどこかで目にしたが、なんか素直に納得してしまいそうなる「太いバレル」である。だから空撃ちの音がこんなに重厚なんだろうか。それにしてもこの太さ、小学校にある鉄棒と同じくらいの太さ。ムクの鉄棒だったら、持ってるのも大変な重さだぞ。

スコープマウントについては、本物純正の10mmレイルはそのままに、20mmの汎用レイルがつく。この世界へ入って20年未満の方々はご存じないかも知れないが、昔「スコープマウント」と言えば、10mm幅が標準だった。このL96が採用されたのは1984年・・・10mmマウントでも仕方ないのでは?タナカのL96は、この実銃の要件をそのまま採用、多くのゲーアーたちを「手持ちの20mmマウント、つかえねぇ!!」と泣かせていた。だから「専用10mmマウント」なる特殊パーツが出回っている。アンチマテリアルライフルで装着した奴である。ちなみに、オクで手に入れたこのパーツ、香港からの直送だった。

この狙撃マニア泣かせの実銃特性を、マルイはいとも簡単に克服してきた。本来の10mmマウントはそのままに、それにかぶせるようにして汎用20mmマウントを乗せたのだ。2本のねじ止めで、外せばリアルな10mmマウント、装着すれば後付とは気づかないほどにフィットした20mmマウント、と。さすがマルイ、やり方がスマートだ。

スコープを乗せてみたが、直銃床に近い(ストックの延長線はバレルの延長線上よりも下である)ストックのおかげで、「普通の」ハイマウント程度ではチークパッドは必要ない。事実、マニュアルでも「(超)ハイマウントにしない限り、チークパッドを外した方が使いやすい(狙いやすい)」と記述されている(マニュアルP.14中段囲み)。なので、この銃と同時発売でハイマウントベースが純正部品として出されている。

自分の場合、このマウントベースはなんか気に入らない。そこで、手持ちのハイマウントベースの高さ不足を補うため、20mmマウントベース自体を高くした。必要なのはねじと少々大きいナットのみ。貧乏マニアにふさわしい方式だと思うが、そんな事誰でも考えつくさそうですかその通りです。

重さは絶妙。リアルマニアやRS製品を手にした人間が持つと軽いと感じるが、かつての樹脂製銃のような絶望的な軽さではない。かといって、これ以上重いと、銃を手にする気が失せてくる(老人特性)。この「軽さと重さの絶妙な狭間」にこの製品が位置するわけで、マルイの「ゲーマーとお座敷、両方を満足させよう」という意気込みを感じる。ただ、重量バランス的に、もう少し前に重心が移動した方がいいような気がした。

実射性能は、これまた天下のマルイ。自分が持っているマルイの銃の中で、一番弾道が素直で「この銃となら戦っていける!」ベスト1のM14。これを久しぶりに撃ってから、今回のL96を撃ってみた。すると、M14の弾道とL96の弾道がほぼ同じ・・・L96の方が少々弾道が伸びる!!ではないか。左右のブレはほぼなく、上下は大型で操作しやすいHOPダイヤルで微調整可。風に流された以外、20mでほぼ毎回同じ位置に着弾した。素晴らしい!! PSG-1で期待した「狙撃銃らしい精度」が裏切られ(決定的なパワー・飛距離不足)、VSR-10でも同じように裏切られ(パワー・飛距離不足)、本来狙撃銃ではないM14でその「精密射撃欲」が満たされるも、なんか割り切れない気持ちになっていた自分にとって、「エアコキの狙撃銃で精密射撃欲が満たされた」今回のこのL96、マルイに150ポイントを贈呈したい(300ポイント貯まると、俺は次のマルイの銃を買います)。

元々、英国の銃だからと言う理由で欲しかったL96だが、マルイから出るという事で期待は大きかった。期待値は100だった。もしこれがマルシンから出るのだったら期待値は70(マルシンだからw)、マルゼンだったら60(デフォルメしすぎの予感)、タナカは40(射撃性能重視じゃないから)、KSCは30(懲りすぎて脆弱そう)、ハドソンは5(・・・理由は必要ないよね?)、WAなら買わなかったと思う。で、実際に手にしてみたら、期待値100に対して満足度は200だった!!久々の大ヒットだ。でもまぁ、敢えて注文をつけるとするならば・・・。まず、ストック。左右貼り合わせのモナカ構造は実銃と同じだから良しとしても、貼り合わせの部分の段差が大きすぎ。特にグリップ部分の貼り合わせ部分が気になる。グリップを握っていて、貼り合わせ部分が手に痛い。冒頭で書いたとおり、絶品の表面仕上げのため、後から自分で削って磨いてができないので、非常に残念。実銃もそうなのかも知れないが、実銃を手にした事がある人の方が圧倒的に少ないはずなので、ここは右手の握り心地をもう少し突き詰めて欲しかった。次にチークパッドの調整機構。2本のねじを緩めて上下させるのだが、ねじを緩めすぎると一気にチークパッドが抜けてしまう。抜けてしまっても問題はないのだが、なんか、あまりにもチープな感覚。コストを上げないで対処できなかったのだろうか。最後は、一番重要な点・・・マズル部分。アダプターを装着してサイレンサーをつけられるように、極太のバレル先端には、16mmの大穴が開いている。しかもその内部はねじ。これは興ざめ。どうせアダプターは別売りなんだからアダプター用のマズル部品とセットで別売りにして、アダプター用の穴ではないマズルにして欲しかった。これも「実銃は・・・」という落ちかも知れないが、狙撃銃にとってマズル部分は最大の色気が出る部分。最大限の気を遣って欲しかった。PSG-1なんか、最高の色気が感じられる仕上げなのに・・・残念。

↑このマズル部分、かっこいいと思いますか?アンチマテリアルの大口径でもないのに、16mmの大穴銃口。本来は7.62mm弾だから、精々8mmちょいで十分のはず。最大の興ざめポイント。だいたい、.308というフルパワーの軍用大口径弾、サイレンサー装着に何の意味があるのか意味不明。まぁ、ゲーマーなら大いに意味はあると思われるが、サイレンサーをつけない人の方が多いのじゃないだろうか・・・だって、サイレンサー装着のためのアダプターが別売りなんだし。だったら、実銃と同じというリアル方向で考えて欲しかった。アフターパーツとしてどこかが出してくれるのなら、5千円までなら出すぞ!!いや、マルイが出せ!!そうだ、そうだ、マルイが出せ!!いや、むしろ、「中途半端な方針でごめんね」と、購入全ユーザーに無料で配布しなさい。政権も変わった事だし、思い切ってサービスしちゃえ!!(脈絡も根拠もない要望)。

色は当然ODを選んだ。L96の色はOD、これは遺伝子レベルで全人類に組み込まれている情報なので、議論に値しない。3名の方から「ODか黒かで悩んでいます」というお便りを頂いたが、議論は無意味。L96はOD、これ以外の選択肢は無し。でもなぜか、橙色もありかな?と思う自分がいる。意味不明だが、何故か自分は昔から「橙色のストックのL96」が目に浮かぶ。鮮やかな橙色ではなく、熟した柿の、少々くすんだ橙色だ。将来オクでこの銃の中古相場が安くなったら、1丁このためだけに手に入れて、挑戦したい。その際には、卵を投げつけないで欲しい。

 

 

ボルトが横に張り出している分、深い箱。

長い。さすが狙撃銃。

バレル、太っ!

後付のバイポッド。
 

後付のスコープ。

サムホール形式。

チークピース高と銃床長は可変。

バイポッドの結合状態。
 

後ろに曲がったボルトハンドル。後に曲げる意味が分からない。
ライブで生きてて機能するマガジン。

チークピース高変更は、この2本のねじを緩めて行う。
 

ボルトをめいっぱい引いた状態。

ボルトハンドル後方の小さいレバーがセイフティレバー。
 

ナットでかさ上げしたマウントベース。

BB弾は、この状態で1発ずつポチポチと入れていく。

実弾ダミカと。
 

ボルト前進時。

ボルト後退時。ノズル下のリップ(プレート)が見える。このリップがマガジンからBB弾を1発ずつくわえて、給弾ルートへBB弾を進める。

バイポッドの結合状態。
 


ホップダイヤル。大型で、明確なクリックもあり、非常に使いやすい。


問題のマズル部分。オマエは何口径か?と戸惑う光景。


実弾ダミカと。