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オマエら、ぬこたんを軽く見ない方がいいぞ。ぬこたんはオマエらを軽く見てるぞ。

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2006年2月12日

エピソード10:逃げ遅れたヤツ

一家団欒の図である。
季節は冬、こたつに集う家族。

食事の時とは座る位置が異なる。
母は、一日中家にいる関係で、一番便の良い上座(茶箪笥の前であり、TV視聴の特等席)。
父は寝ころぶときに必ず左側を下にする関係でこの位置。
俺はTVに対して座ってもヨシ、寝てもヨシのこの位置。
姉は仕事(ヤマハの講師=練習)。
猫軍団はこたつで丸くなる。

この日、夕食は母親特製手作りの餃子だった。

母の作る餃子は最高にうまい(あんの挽肉率が70%を越える)のだが、困ったことがある。
それは、母がB型故におだてに乗りやすく、調子に乗りすぎることである。
はじめて母が餃子を作ったとき、家族一致で本心から「うまい!!」と言ってしまった。
「どーせ、毎週餃子になったんだろう?」程度と思うだろ?違うな。
餃子は多くても三ヶ月に1度の頻度だった、ただ、1回の個数が多くなった。
最初は一人に10個(家族で40個)だったが、誉めた後は家族で200個以上になった。
母と姉は小食なので二人で30個程度。
残り170個以上を父と俺で折半、一人85個 orz
しかも、身がはち切れそうにあんが詰め込まれた大型餃子を85個以上。
母は餃子の時には必ず語る、いかに今回の餃子を作るのに苦労したか、午前中から昼食も食べずにほぼ一日かけて作成した餃子がいかにおいしいはずであるか云々。
残すことは許されない。
完食したその次には数が増えているし・・・。

それが我が家で「餃子が食卓に上る」という意味だった。

その日も「うまい餃子だ!!うれしい!」という素直な感激と、「完食可能だろうか・・・」という不安に包まれながら、食卓に就いた。
結果として、完食はかなった(俺は100個ほど食った)。
猫軍団はイチ(長男、ブチ、デブ、馬鹿、天然)以外には餃子に興味はないので、食事中のエピソードはない。
当然イチ(長男、ブチ、デブ、馬鹿、天然)は「今日も寒いね。俺なんか雪嫌いだから外に出られないでしょ?餃子頂きますね?」といつも通り母からトールハンマーを喰らっていた。

食事も終わり、片付けも終わり、家族団らんの時間。
母はお茶すすりながらボケーッとしてる。
そりゃ当然だろう、餃子200個以上独りで作ったんだからな。
父はいつも通り泥酔状態で熟睡。
俺は満腹過ぎの腹抱えて横になって吐き気を抑えている。
猫軍団もこたつで良い気持ち。

異変の発端は、ネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)の猛ダッシュであった。
俺の背中の方、こたつから飛び出し、猛ダッシュで廊下を去っていく。
しかも様子が変だ。
足がもつれ気味で、進路も微妙にぶれている。
異変を察知した俺は、こたつの中を覗く。
そのとき歴史が動いた。

その2秒後の図が下図である。

匂いと言うには生やさしすぎる。
臭いと言うのも桁が違う。
明らかに生命の危険を本能が感じ「逃げろ!」と叫ぶ、そのような悪意に満ちた物質がこたつの中に充満していた。
本能の叫びに従って逃げつつ、俺は薄れゆく意識の中で悟っていた「屁だ、親父のwww」

親父の屁の破壊力には定評があった。
まともに吸ったら数日はダメージが残る。
ところが、餃子を大量に喰らい、酒もくらってつまみにキムチも食った時の屁は吸ったことがなかった。
普段の親父の屁が「非人道的大量破壊兵器」だとするならば、この日の屁は「最終兵器」まさにアルマゲドン、人類最後の日であった。

「ここで意識を失ったら死ぬ」と、必死に逃げようとする俺の身体をペル(次男、完璧黒、普通の猫)が踏んづけて逃げていく。
振り返ると、ポミー(三男、しっぽ曲がり黒、ちょっとマヌケ)が最後の力を振り絞ってこたつから出ようともがいている。
母は既に射程圏外へ逃れている。

数分後の図。

次第に部屋へ充満し始めた最終兵器を逃れ、親父以外の全員が廊下の先、台所へ避難した。

俺「親父、大丈夫かな」
母「お父さんは張本人だから心配無用」
俺「・・・イチ(長男、ブチ、デブ、馬鹿、天然)がいない」
母「・・・!!逃げ遅れた!?・・・かわいそうに。馬鹿だけど可愛い猫だったのにね。」
俺「まだ死んでねーだろーがw!!」

最終兵器の半減期5分が過ぎ、俺は意を決してイチ(長男、ブチ、デブ、馬鹿、天然)の救出に向かう。
まだ非人道的大量破壊兵器並みの放射能が残留するこたつの布団を上げ、中を覗く。
イチ(長男、ブチ、デブ、馬鹿、天然)はいた。
手足を投げ出して横になっている。
ピクリとも動かない。
が、目だけは見開いて、パチパチしてる。
呼びかけても反応がないので引っ張り出し、救命所(台所)へ。

紙袋実験終了直後 と同じく、身体が震えている。
呼吸も荒く、目は大きく見開かれたまま。
生命の灯は消えようとしている。
放射能戦の訓練を受けていない俺は、自分で出来る精一杯の救命措置を行った。
・・・竹輪を投与した。
イチ(長男、ブチ、デブ、馬鹿、天然)は死の淵から救われた。

これ以降、ペル(次男、完璧黒、普通の猫)は決してこたつの中へ入ろうとしなくなり、ネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)はこたつへ入っても、必ず鼻先だけをこたつ布団から外へ出していた(シュノーケル効果)。
ポミー(三男、しっぽ曲がり黒、ちょっとマヌケ)は餃子のにおいをかぐと逃げるようになり、イチ(長男、ブチ、デブ、馬鹿、天然)は相変わらずこたつの中で堂々と寝て、何度も同じ目にあって生死の境を彷徨った。
俺は、親父がこたつにいるときにはこたつで寝ころばなくなった。
母は、攻撃者自身が無事だったことに不満を述べていた(怖い母親である)。

 

次回はネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)の復讐をお送りします。