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オマエら、ぬこたんを軽く見ない方がいいぞ。ぬこたんはオマエらを軽く見てるぞ。

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2006年2月10日

エピソード7:ほしいにゃん!-2

前回最後に書いた予告と異なっているタイトルに戸惑っているあなたがいるかも知れない。しかしよく考えてみて欲しい。5分前の記憶と5分後の見通ししか持たない俺が、2日前の予告を覚えているわけがないのだ。猫様にあこがれ、どうしたら猫様になれるのか悩み、猫様を目標に生きてきた俺が、たかだか予告程度に縛られるものか!!つか、オマエらごめんな行き当たりばったりで。

前回は魚好きのネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)と魚嫌いの俺(長男、人的猫族)のコラボレーションが為し得た奇跡について語った。よな?
今回は「刺身」である。
なんと、刺身には骨がなくて、非常にうまい。
これは人的猫族であるオレ様の食い物であり、いくらブックマークのネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)であっても猫的猫族にはおいそれと与えられるものではない。

刺身が食卓に上った日には、猫的猫族たちの攻撃指数は跳ね上がる。
おかんへの足下すり寄りニャンニャン攻撃の気合いが違う。
刺身とは即ち、猫族共通の目標であり、生きる目的である。
何と単純明快な人生なのか!!
「俺は刺身を食うために生きている」刺身我が人生!である。
俺は、そんな単純明快な猫的猫族の生き方にエールを送りたい。
でも、刺身はやらない。

食卓中央に鎮座する刺身を盛り合わせた皿。
それは既に猫的猫族四匹と人的猫族一匹の欲望が収束する欲望のるつぼであり、刺身のために生きる五匹が己の人生の全てを賭ける戦場である。

俺はまず、敵兵力評価のために威力偵察を実施する・・・イカに箸を付ける。
山国の田舎で食べるイカにはシャッキリ感がなくてぬちゃぬちゃであるが、そこそこのお味である。
威力偵察の成果に満足した俺は、正面攻撃を避け、側面へ回り込む機動戦を展開する。
右翼攻撃が始まった・・・ハマチを喰らう。
これまたシャッキリ感のない情けないハマチであるが、歯ごたえは多少残っていて、なかなかに楽しませてくれる。
右翼での苦戦を尻目に、左翼での攻撃も激烈さを増している・・・甘エビである。
透き通った身の向こうに桃源郷が見える甘エビである。
左右両翼の攻撃によって予備兵力が消費されたであろう頃合いを見て、正面攻撃を敢行する・・・マグロ。
大抵マグロというヤツは、冷凍によるシャッキリ感か解凍後のグッシャリ感しかないのだが、山国の田舎の貧家で育った由緒正しい貧乏人である俺にとって、マグロは刺身の王者であり、キング・オブ・サシーミである。

さて、激戦を展開している食卓の下で、四匹の猫的猫族が戦闘を開始している。

ペル(次男、完璧黒、普通の猫)は、いつも通りおとんのそばで家康やってマグロをもらっている。

イチ(長男、ブチ、デブ、馬鹿、天然)もいつも通り「やあ、今日は暑かったね。みんな学校や仕事どうだった?ロッキード丸紅ルートの解明が始まったけど、ひどいもんだよね?刺身もらいますね?」と甘エビ1尾をせしめてトールハンマー喰らってた。
その後、おかんに「ねえねえねえ、ちょっと頼みがあんだけどさぁ。最近の俺たちの食事ってヒドくね?まだまだ育ち盛りの俺たちなんだからさぁ。もっとこってり感が欲しいよね?だから刺身くんね?」と語りかけ攻撃を始めている。
イチ(長男、ブチ、デブ、馬鹿、天然)の語りはとても特徴的で、「にゃー」でも「ナー」でも「ニュワァーゴ」でもない。
「みゃ」である。
しわがれた声で「みゃ」と言われると、その哀れな様子に母性本能がくすぐられる、らしい。
「まったくお前はしつけがなってないからね!」と説教と共に、イチ(長男、ブチ、デブ、馬鹿、天然)はハマチがもらえる。

ポミー(三男、しっぽ曲がり黒、ちょっとマヌケ)は、姉の膝の上で食卓に両手をつき、「あれ(甘エビ)くれニャー」としつこくねだっている。
姉は典型的B型人間なので、自分を頼ってくれる相手に対して極度に弱い。
ポミー(三男、しっぽ曲がり黒、ちょっとマヌケ)は甘エビを手に入れる。

ネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)は、下僕の俺が正面の戦場に夢中で刺身を定位置(エピソード6参照)に移動させる気がないのに気づくと、俺の膝に乗って俺の顔を見て「にゃーにゃー」と語りかける。
四匹兄弟の中でも最も身体の小さいネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)が俺に語りかけている姿は、端から見ればほほえましい・・・かわいらしい光景である。
事実は異なる。
「オマエなぁ。自分の立場ってものをわきまえろよな。オマエは俺の下僕なんだから。俺より先に刺身喰ってどーすんだよ。うまさに礼儀を忘れたのは許してやっからさぁ、早くオレ様にもよこせよ。」とネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)は下僕に説教しているわけである。
でも、下僕にも言い分はある。
「俺の分無くなるじゃネーか。やんネェよ!!」
下僕が裏切ったことに気づいたネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)は、下僕の背後に回り、背中に甘爪を立てる。
端から見れば、甘えた子猫が主人に甘爪でおねだりをしているようにも見えるらしいが、実際には怒った主人が下僕に対して罰を下しているのである・・・甘爪なんてもんじゃない!!背中傷だらけ、血だらけだよ!?
俺が「痛い!」と叫んでネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)を叱りつけると、家族三人がみんなで俺を責める「オマエは大げさなんだよ!」と。
四面楚歌の俺は、仕方なくネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)に刺身盛り合わせ(イカを除く・・・さすがに腰抜けにさせるわけにはいかない)を与える。

以上が、我が家での刺身事情猫族五匹編である。
これが日常だった。

ある日(夏だったと思う)、いつものごとく背中に「教育」をされた俺は、ネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)に刺身を分けてやらなければならなくなった。
そのとき、魔が差した。
ネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)にやろうとマグロに箸を延ばしたその先、箸とマグロの2点を結ぶ直線の延長上の点Pに、それがあった。
色は緑で粘着質、すり下ろしではなく練りの方である・・・ワサビ。
俺は箸でマグロを取るのを止め、指でワサビをすくった。
それをネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)の鼻面へ塗った。

「ムギャーン○△×!%*#!!ブギュ&△!!」とネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)は叫んで、のたうち回った。
そのあまりに壮絶な姿に、家族は凍りつき、箸を口へ運んでいるそのままの状態で時間が止まった。
ネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)の動きは次第に弱々しくなり、口から泡が出始めた。
それを見て俺は我に返り、ネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)を抱きしめて洗面所へダッシュ、鼻面を思いっきり水で流した。
ようやくネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)は呼吸が出来るようになり、ショックも納まり、はぁはぁ言いながら外へ飛び出していった。

ネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)は、いつも下僕の俺の布団で寝る。
孤高の誇り高き猫であるが、俺の布団に入ってくる。
その夜は、俺の布団に入ってこなかった。
翌日の夜にもネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)は俺の布団に入ってこなかった。
代わりにスズメの頭が布団に入っていた。 orz

 

次回は「ネーミング」について語ろう。