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模型のページ

模型とは本来、作成過程も楽しみの重要な要素なのだが、
近年完成品が売ってあるとはいかがなものか。
といいつつ、年々未製作でお蔵入りするのが増えている現状で文句は言えないしw

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T-62

 

 

TAMIYA製1/35

「戦車王国はソ連だ」というのが、死んだオヤジの口癖だった。と言っても、最後に聞いたのは小学校低学年の頃だったか? この頃、大晦日の恒例が「TVのある部屋で家族は紅白、俺はプラモ」というのだった。お小遣いを貯めて自分で買う以外に、年に一度、大晦日にはプラモを買ってもらえた。当然、翌日の元旦にはお年玉がもらえてプラモ買いに行くのに、大晦日に限ってなぜか買ってもらえた。よほど俺が喜ぶ顔が見たかったのだろう。そうやって甘やかすから、今の俺がいるわけだw

で、プラモ買うと言っても、当時俺が買いに行ける地元の店は2軒のみで、1軒は文房具屋、1軒は雑貨屋だった。当然プラモの品揃えは絶望的で、俺の好きなジャンル(戦車、戦艦、戦闘機)は選べるほどはなかった。今でもはっきり覚えているのが、「M4シャーマン」「T-34」「ジューコフ(Su-85)」の3つがあって、どれにしようか、心から悩んだ。シャーマン戦車の白い星は、他の2台の赤い星よりかっこよかったし、T-34は砲身が長くてかっこよかった。砲塔のない突撃砲のSu-85は、なんか箱の絵がかっこよかった。今の俺ならカード出して「全部」と大人買いだが、当時子どもの俺にそのような財力はなかった。決められず、一度帰宅、父親に相談した。そのときの父の言葉が、何回か聞いたことがある「戦車王国はソ連」というものだった。(どこかでも話したが、オヤジは日中戦争の経験者だ。騎兵だった。もしかしたらノモンハンも経験した?と思ったが、年代的に違うようだ。)

オヤジがそう言うんなら、戦車王国のソ連にしようということになった。結局、Su-85を選んだ。正月が開けて、近所のガキどもにSu-85を自慢して見せたら、その中の一人がT-34を買って作っていた。2台を並べてみたら、「kちゃんの戦車はここ(砲塔)が回らないから、後から攻められたときに弱い」と指摘され、「kちゃんの戦車(Su-85)よりもT-34の方が強い」という結論になった。言われてみれば、後から攻められたらどうするんだろう、このSu-85!?と、自分の選択ミスに落ち込んだ。突撃砲は戦車にあらず、砲兵部隊の自走砲。歩兵が突破できない強固な陣地を、「後方から進出して、打ち砕く」のが突撃砲の運用方法。MBTのように戦車同士の格闘戦は想定されていない。だから回転砲塔は不要だし、回転機構がない分、車体に対して大型の砲が搭載できる・・・のような知識は当時の俺にはなく、「大砲のところ(砲塔)が回らない戦車は弱い」と俺の遺伝子に刻み込まれた。

さて、このT-62であるが、上の話とは何の関係もない。あるとすれば「同じソ連の戦車」ということだけだ。では、なぜ上の話をしたのかというと、T-62を見たら思いだしただけで、よくある「オヤジの昔話」だ。「そんな文章読まされて、時間損した!!」とお嘆きの貴兄へ、この言葉を贈ろう・・・「やーい、やーい、だーまされたっ!!」。・・・ごめん、多少は反省している。

うちの親父に「戦車王国」と認められたソ連。さすがソ連。列強が105mm砲の時代に突入した頃、「うちは大砲の国ですから。よその国に負けていられませんから。」とばかりに、採用したのが115mm砲。また別項で述べるが、「砲の直径が大きくなると、砲弾の重さが重くなるから、砲弾速度は落ちる」というのは、今の戦車砲の世界では間違い。単純に直径の増大はスピードの増大となる。だから105mm砲よりも115mm砲の方が弾速は速く、当然威力(破壊力と言うよりも貫徹力)も大きくなる。ソ連(ロシア)はスペック好きで、カタログ上の数字で負けることを嫌う。実際には各種理由で「西側の105mm砲とソ連の115mm砲は、大した違いはなく、ほぼ同等」というレポをそこら中で見かける。真実は知らないが、何となくうなずける話だ。

西側は、戦車の防御力を高めるために、チョバムアーマーを初め、ハイブリッド装甲(鉄とか各種金属とかセラミックとかのマルチマテリアルを層にしたもの)が全盛期だが、ソ連・ロシアは違う。伝統の避弾径始重視だ。命中する砲弾に対して、垂直にならないように装甲に角度を持たせる・・・T-34でソ連がいち早く採用した技術だ。だからT-62だけでなくソ連の戦車の砲塔は丸い。あれ、1ピースの鋳造品・・・お寺の鐘と同じだね。で、さすがに最近のHEAT弾(対装甲瑠弾)には対抗しづらくなり、最近では(T-80)リアクティブアーマーの鎧になってるしw 後付感最高だしw

この後のT-72は、事実上の「冷戦時代の東側主力戦車」になり、T-64から発展したT-80が現在の主力となっている。しかし、湾岸戦争以降のアラブでの実戦では、T-55やT-62、T-72が全然西側のエイブラムスやチャレンジャーに敵わなかったと報じられている。戦意の違いもあるだろうが、そりゃ「一対一」のサシ勝負では西側が勝つのは当然。東側の神髄は「物量」。安かろう弱かろう、でも見渡す限り埋め尽くす物量がドクトリン。歩兵携行の対戦車ミサイルごときに簡単にやられるようでは困るが、避弾径始で避けられる被弾破壊は避け、渾身の一撃で撃破されても数で押し通す。こうした戦術思想があってこその「一体鋳造砲塔」・・・安いでっせ!!少々脆いですが、安いから数そろえられまっせ!!と。

一番安い兵器は人間・・・東側に生まれなくて良かったw