ねこのページ

オマエら、ぬこたんを軽く見ない方がいいぞ。ぬこたんはオマエらを軽く見てるぞ。

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2006年2月15日

エピソード13:Drag

親父がマタタビを手に入れてきた。
親父は営林署勤務で、山男である。
帰ってきていきなりぬこたんに全員集合をかけた。
って、呼んでも集まるようなヤワなぬこたんではない。
冷蔵庫から竹輪のパッケージを取り出し、袋をガサガサ鳴らして「竹輪!!竹輪!!」と叫ぶ。
ぬこたん大集合。

冷蔵庫の周りに集まった四匹のぬこたんを竹輪で居間へ誘導。
袋の中のマタタビを取り出す。
とたんにペル(次男、完璧黒、普通の猫)とネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児) の目の色が変わる。
それまで見たことがない「ほしいニャン!!」攻撃を始める。
ペル(次男、完璧黒、普通の猫)は親父のズボンに爪をかけて、そのまま親父の身体を上っていこうとする。
ネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)は後ろ足だけで立ち上がって前足を天空に突き出し、宗教の儀式みたいな「いっちゃった」表情でおねだりをする。
親父がマタタビをいくつかばらまくと、ポミー(三男、しっぽ曲がり黒、ちょっとマヌケ)も加わって三匹でマタタビに飛びつく。

しかし、誰もマタタビを食わない。
戯れている。

ペル(次男、完璧黒、普通の猫)は匂いをかいだ瞬間に寝ころんで頭をマタタビにこすりつけている。
ネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)は両手でマタタビを抱えて、マタタビをカジカジしながら、これまた寝ころんでいる。
ポミー(三男、しっぽ曲がり黒、ちょっとマヌケ)は身をカジカジしつつ、激しく寝返りを打ってストリート系のダンスを披露している。

ペル(次男、完璧黒、普通の猫)が「ゴローウーニュアーァー」と奇声を発し始める。
眼は完全にイってる。
ネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)は両手でマタタビを抱えて後ろ足だけで立って怪しげなステップを踏んでいる。
ポミー(三男、しっぽ曲がり黒、ちょっとマヌケ)は身をカジカジしつつよだれを垂らし始め、益々ストリートダンスは激しさを増している。

嵐のような数分間が終わり、静けさが訪れた。

ペル(次男、完璧黒、普通の猫)はうずくまり、至福の表情でまどろんでいる。
ネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)はTVの上の定位置で中空の一点を睨んだまま動かない。
ポミー(三男、しっぽ曲がり黒、ちょっとマヌケ)は身を投げ出して横になったまま、全ての尊厳を放棄した恍惚の表情でものぐるをしけれ。

イチ(長男、ブチ、デブ、馬鹿、天然)は最初からマタタビに興味を示さず、竹輪もらって喰ってこたつの中で寝てた。
やはり猫ではなかったのかも知れない。

余ったマタタビは、親父が焼酎に漬け込んだ。

1年以上が経過し、イチ(長男、ブチ、デブ、馬鹿、天然)がいなくなってから、焼酎漬けのマタタビをぬこたんに与えた。

ネコジ(四男チビ、白いパンツ黒猫、ニヒルな天才児)は興味を示さなかった。
ペル(次男、完璧黒、普通の猫)は生のマタタビの時と同じ反応だった。
ポミー(三男、しっぽ曲がり黒、ちょっとマヌケ)はマタタビよりも焼酎のアルコール分にやられた。
この時はじめて、猫の千鳥足を見た。
目が完全に据わって、やくざの親分さんのような表情だった。

人的猫族の俺もマタタビ酒を飲んでみた。
飲んだ後どうなったのか記憶がない。
気がついたら自分のベットで下半身を露出して横になっていた。

次回は四匹が三匹になった話をする。