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てっぽうのページ

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UZI

 

 

イスラエル:無可動実銃

本稿のレポート、写真は全て「つかさ」さんのご提供です。

以前の投稿よりかなり遅れてしまいましたが、無可動UZIのレポートをお送りさせて頂きます。ガリルのレポートの時のように、酔っ払いながら文章を書くとまともな文章にならないので今回は素面ですw

たまに百均でも見かける透明なUZI型水鉄砲のおかげか、やたらと知名度の高いUZIです。戦後オープンボルト式サブマシンガンの中でも出色の出来といわれるだけあり、ほぼ世界中で採用実積があります。性能もさることながら、人気を後押しした理由として当時の西側における主力小銃がFALやG3などのバトルライフルであった事と関係があります。というのもバトルライフルは全長が長く、事実上セミオートであった為に、近距離や屋内戦闘でのフォローとしてUZIなどの9mmサブマシンガンを平行して採用する事が多かったんだとか。開発元であるイスラエルの敵に当たるアラブ諸国ですら人気が高かったそうな…。もっとも、それらのアラブ諸国には、ベルギーのFN社にてライセンス生産されたものが輸出されていたそうです。流石にイスラエルからアラブ諸国への直接販売は無かったようです。

ちなみに中国とクロアチアではがっつりとコピー生産されています。ウジエル・ガルの設計として有名ですが、ベースになったのはチェコスロバキアのZK476と呼ばれる試作サブマシンガンです。

 

 

L型ボルトの採用とグリップにマガジンを収める設計により、このクラスのサブマシンガンとしてはかなりコンパクトに仕上がっています。
4kgに迫る重量に加え、重心がグリップ付近にあり、なおかつ発射速度も600発/分と比較的ゆっくりなので片手撃ちも出来そうな感じです。

 

 

反対側。エジェクションポートが見えますね。
プレス製のレシーバーには砂などが噛み込まないように溝が付けられています。思うに、レシーバー強度確保のためのリブも兼ねているんではないかと。ZK476には無い改良点です。

 

 

ストックを伸ばした所。コンパクトな折りたたみ式ながら、ガタは思いのほか少なく良く出来ています。しかしながら、後述のリアサイトの仕様と相まって凄く狙いにくいです。しかも頬付けしたほっぺの痛い事…。理由は後述。

 

 

マズル付近。バレル根元のカラーはラッチを押さえながら回すと外れます。後は普通にバレルを引き抜くと、それだけでバレル交換できます。長さの異なるバレルは無かったようです(米国では規制法の関係で長いバレルがありましたけど)。

 

 

リアサイト付近。単純なピープサイトですがフリップ式になっており100m/200mの切り替えが出来ます。サイトガードも着いており、安価なサブマシンガンにしてはなかなか豪華な造りです。
しかしピープの径が小さすぎる事に加え、リアサイトの位置自体が低い事もあり、頬付けが難しいです。具体的にはストックに頬をグリグリと押し付けるように構えないとピープが覗けません。顎の長い人は照準不可なんじゃないかと言うくらい。
何故素直にオープンサイトにしなかったのか…?

 

 

フロントサイト付近。リアサイト同様立派なサイトガードが付いています。フロントサイトはピラミッド型。普通のポストタイプと比較して、狙い易いかどうかは好みの問題でしょうか。

 

 

分解した所。グリップ後方のピンを1本抜いてやればグリップ部分とレシーバー部分に分解が出来ます。
レシーバーカバーはリアサイト下のラッチを押さえながら持ち上げると外れます。

 

 

グリップ付近。握り易さはまあまあなんですが、グリップセイフティのスプリング圧が強すぎて握っていると親指と人差し指の間が痛くなってきます。
かといってM1911系のようにビニテ巻きにするのもちょっとお勧めできません。落下させた際に暴発する危険が増してしまいますからね。無可動だから関係ないですが、やはり実銃でありえない事をするのはちょっとねぇ〜。

 

 

初期のUZIに付けられていた木製ストックです。元々はこの木製ストックが標準だったんですよ。

 

 

木製ストック装着時。イメージがガラッと変ります。折りたたみ式と違い、頬の当たる部分がザグられているため構え易さはこちらの方が遥かに良いです。
ボタン一つで着脱できるため、ストックを外してマシンピストルのように携帯しつつ、いざと言う時はストックを取り出して素早く装着!なんていう事も(実用性はともかくとして)可能です。

 

 

木製ストック装着時、反対側。
折り畳み金属製ストックの元になったオランダ空挺部隊仕様のストックですが、形はこの木製ストックと全く同じような形です(スケルトンストックですが)。
構え易さも良好、しかも木製ストックより若干軽量だったかと思います。


ということでUZIをご紹介させていただきました。
実は無可動で持っていてもあまり好きになれない鉄砲です。何と言うか構えた時にどうも落ち着かないんですよ、サイト覗いた感じとかストックの感じが。木製ストックに交換すれば若干マシですが。
ネガティブな事書きましたが、単純な構造から来る信頼性と低コストこそがUZIの魅力ですからね。あまり細かい事を言う類の銃器ではないのかもしれません。

次回は世界四大突撃銃の一角、G3A3の紹介を予定しています。

 

 
 

 

 

<kのコメント>

UZI・・・俺の好きな箱モノだ。汎用的(に見える)単純なボディに、これまた汎用的(に見える)ハンマー、シア等の主要部品が、現代銃の基準から言えば「ゆるい」感じ(スペースに余裕を持って)配置されている感じ。他に例えるなら、ラピュタやスカイキャプテンに出てきそうな「電子よりメカ」の雰囲気。旧時代(前世紀)前半の「機械」のイメージ。さらにいえば、蒸気機関が幅をきかせていた時代の雰囲気。実際UZIは、旧世代に属する銃。最新の「アルミ」「樹脂」「人間工学」等とは無縁の時代の銃。鉄と木の時代の銃。最高だ。(ハンドガードは・・・という抗議は却下!!)

なにも、現代の銃が嫌いなわけじゃない。アルミと樹脂、小口径高回転、電子機器満載で兵士はもはや一人ぼっちではなく、全体のシステムの一部・・・これはこれで良いものだ。同じように、今の基準から見れば古臭いこのUZIのような銃の魅力も、未だに色褪せない。一昔前は、自分の周りにいる連中はほぼ例外なく「新しいものがいいものだ。古いものはよくないものだ。」という風潮が強かった。高価な骨董趣味は別として、骨董価値のない古いものを使うのは「貧乏」「ひねくれ者」「消費者の敵」、そんな風潮だった。とにかく新しいものならば無条件に「いい!!」と。それが昨今、変化してきた。「古くても、長く使うことはいいことだ」「古くても、最新のものに負けない魅力があることがある」という風潮に変わりつつある。エコの問題や不景気が関係していると思うが、「古くてもいいものが好き」な人間には住みやすい世の中になってきた。

が、俺は不満だ。古いものの魅力に多くの人間が気づき、いつしか「古いもの派」が多数派になってしまったら、少数派命の俺はどうしたらいいのか!!巨人・中日ファンの中で絶対少数派の阪神ファン、トヨタ・ホンダが絶対多数派の近隣の中で絶対少数派のスバル、世の95%の人たちが窓なのに自分だけ林檎。何も自分は、マイナーだからとこれらを選んだわけじゃない。メジャーの人たちのように「これはマイナーだから」と阪神やスバルや林檎を「選択肢から除外しなかった」だけで、自分の中では「どれがいいのか」を真剣に検討した結果だ(阪神はちょっと違う?)。だから、マイナー人間たちは、メジャー人間たちの世の中で救済を求めていたのではなく、十分な自己満足を得ていたのに、なぜに「マイナーなあなた達の主張が、よくわかるようになりました!!」と崇高なマイナー魂を理解したつもりになる?なぜだっ!?

と、少々話が逸れたが、ただでさえ絶対数が少ないてっぽ趣味の中でも、さらにファンの数が限られるこのUZI、マイナーだからという理由だけではなく、「いいものだからいい」と感じるから好きだ。

ブルパップ一歩手前のマガジン位置。銃の全長は、短ければ短いほどいいのは当然だ(銃剣戦闘を除く)。命中率やパワーが同じなら、短い方が使い道が広がる。もしL85がもっと新羅できる性能だったら・・・。もしフランスがもっと協調性のある国だったら・・・。オーストリアがもっと影響力のある国だったら・・・。もしP90がサイドウェポンではなかったら・・・。本来、ブルパップは軍用銃の未来形として、最有力だと思うのだが。そのブルパップをSMGに採用した、これは画期的。元々の設計(アイディア)はチェコのZK476やらポーランドのWz63だが、実用化して大量生産されて活躍したのはUZIだけだ。

でも、実際にマルシン製、JAC製、マルイ製を手にした経験から言うと、この銃は扱いにくい。まず、グリップ。太くて垂直。手の小さい俺には、大きすぎてしっかりしたグリップは不可能。垂直のグリップは頬付け射撃には最適だが、腰だめ射撃には向かない。次に、つかささんの御指摘通り、サイティング。最悪のサイティング環境。低いリアサイトのために、頬をストックに押し付けて頬を沈み込ませるか、顔を斜めにするかしかない。確かにその点木製ストックは秀逸で、サイティングしやすい。以上より、「腰だめ射撃に向かない(グリップの責任)」「頬付け射撃に向かない(金属ストックの責任)」と、腰だめにも頬付けにも向かない銃だ・・・じゃぁ、どうせよと?UZI手にしたら、頬付けも腰だめもしないで、何をせよと?

・・・まぁまぁ落ち着け俺。「頬付けして、でもサイトを使わないで着弾点の移動方式で使えばいい」と。そうか、どうせバラマキのSMGなんだし、腰だめより頬付けの方が着弾点修正はしやすい。そう、UZIは総やって使えばいいんだ!! と、勝手に基本使用方法を制定したところで、頂いた写真をよく見る。うーむ、さすがに実銃。この質感は真似が難しい。適度に使い込まれていて、実銃の持つ凄み・緊張感がビシビシ伝わってくる。これを「人殺しの道具」として嫌う人もいるが、銃には責任を求めるのはお門違い。使う人間、社会、国の問題だ。俺は「本物の道具の凄さ・緊張感」を感じる。ブレン軽機銃買った時に、それを強く感じた。一部の方々から「人を、しかも日本人を殺した可能性のある実銃を買って眺めるとは不謹慎!常識を疑う!」とお叱りを受けたが、その主張の一部を認めながらも、「銃に責任はない」ことだけはしっかりと反論したものだ。特にバーチャルが幅を利かせる昨今、実物に触れることは悪いことではないと思う。アサルトライフルと機関銃の区別もつかないそんなレベルで、ヒステリックに「とにかく銃には反対!!」と叫ぶ人々には、哀れみの目を持って接するようにしている。

この実物UZIの写真で感じた「本物感」、是非、ここをご覧頂いている皆様にも感じていただきたい。

つかささん、いつもありがとうございます。無可動実銃はやはりお高くて、なかなか手に入れる機会がありません。こうして詳細にレポしていただいて、喜んでいらっしゃる方々は多くいらっしゃると思います。これからもよろしくお願いします。