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てっぽうのページ

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PPSh41

 

 

ハドソン製:モデルガン

「どうせ第一声はタミヤだろ?」と思うかも知れないが、その通りである。タミヤの1/35である。予想通りで嬉しいか?

ググったが、この大きさのデータしかなかった。もうこんな扱いか?しかも「ロシア歩兵」になってたし(昔は「ソ連歩兵」だったと思うが)。

「正規兵器で異例の生産量(500万丁以上)」「正規兵器で異例のドラムマガジン」「正規兵器で異例の(士官や下士官用ではなく)兵士のための設計」という特異点を持つこの銃、非常に目的がはっきりしている。「近接戦闘用」だ。映画スターリングラードやプライベートライアンなんかを観ると良く分かるが、市街戦で長いフルパワーのライフルは邪魔。短く連射の訊く兵器の方がイイ(今で言うCQBか?)。ここまでは俺の頭でもよく理解できた。が、なんか違和感があるのよね、この銃。MP40、トンプソン、ステンマークIIIらと比べて。で、米軍のイラク侵攻観て気がついた。「市街戦ばかりじゃねーだろうが!!」。だだっ広いヨーロッパの平原。スターリングラードの戦闘のような市街戦って、全体の一部に過ぎないよ。大半が「お外」での戦闘だよな?それって戦闘距離1000mなんてざらの世界だから、各国のライフルのサイトは「最大2,500m」とかって非常識な装備になっているんだよな、肉眼で敵見えないって!!ソ連のモシンナガンも例に漏れず、サイトの最大目盛りは2,000m。で、非常識に長いし。実包、フルパワーだし。そんなところへ、いくら拳銃弾としてはハイパワーな部類に入るとしても、所詮は拳銃弾を使うサブマシンガン投入してどうする?敵のKar98kやMG42にアウトレンジされるよ?

MP40やトンプソン、グリースガン、ステンマークIIIのように、基本的に下士官や戦闘車両要員のために開発されたSMGなら、納得。「てっぽでの撃ち合い」は彼らの本職じゃないからな。せいぜい自衛用で十分だ。だけど、PPSh41は「兵士対象に開発」されたSMGだ。兵士用だから、自衛用のような消極的なものではない。その証拠がドラムマガジンだ。最大装弾数71発。この時代の他国のSMGの標準である20発から30発などというおとなしいものではない。倍以上だ。トンプソンのドラム?あれって、一部部隊への限定支給でしょ?自国軍の「主力」としての採用じゃないよね。PPSh41は500万丁以上だから・・・。 で、ドラムマガジン故に言い切れるのよね、「下士官や戦闘車両要員用じゃない」ってね。重いから。ドラムマガジン付きは重いから。しかもかさばるから。ドラミマガジンが横幅を占領するから、持ち運びも大変、車両内では邪魔。だから兵士用と言い切れる。

じゃ、「戦闘距離1,000m以上」で、彼ら「SMG兵士」はどうするわけ?1,000m以上で撃ち合うわけ?・・・そりゃあないでしょう。で、ここで発想の転換。「戦闘距離が遠すぎて、兵士の携行兵器(PPSh41)の射程外だったら、その射程距離まで接近すればいい」と。それが「戦車」であり、「跨乗」だ。強力なドイツ軍(IV号長砲身型、パンター、タイガー等)に対して、戦車の数で強引に接近し、跨乗したり戦車の後ろから付いてきたりする歩兵が、PPSh41を手に接近戦等を挑む、と。つまり、戦車による敵防衛線突破と豊富な歩兵戦力が前提であるわけだ。T34があるし、人はいくらでもいるしね。フルロードで前時代的工芸品的な造りのモシンナガンより遙かに安上がりなPPSh41あるしね。・・・怖い国だ。PPSh41渡されたら、「極度な消耗品」決定であると。マガジンも支給は1個のみという話もあるから、「71発」が自分の予想最大生存時間だ。

さて、かように怖い背景を持つこの銃であるが、銃として観た場合、とても興味深い。まず、曲銃床であること。曲銃床のSMGなんて、他には百式機関短銃とMP18くらいしかない。いや、あることはあるが、「百式機関短銃」「MP18」「PPSh41」これが御三家だ。
「三八式歩兵銃」「ガーランド」「リーエンフィールドNo.4MK1」
「Kar98k」「ガーランド」「リーエンフィールドNo.4MK1」
「トンプソン」「MP40」「ステンマークIII」
「P08」「P38」「ガバメント」
等々、御三家っていっぱいあって困ってしまう。御三家のひとつでも手に入れてしまうと、3つも揃えるという義務が生じるからだ。その結果、上記例に挙げた御三家は、ムリをしてでも揃えてしまった。いや、揃えざるを得なかった。だから俺が「曲銃床SMG御三家」の一角である百式機関短銃を手に入れたとき、「この御三家だけは、揃えるのはやめよう」と思った。なぜなら、MP18が異例に高かったから。御三家のうち2つまで揃えてしまったら・・・。

モシンナガンが悪いんだ。モシンナガンなんかを買ってしまったから、ソ連熱にかかってしまうんだ。だからムリして買っちゃったんだ、PPSh41。

オクで上物を見つけた。「新品同様」「未発火」で、オクでの新品実勢価格より1万円安。落札した。ブツガ来た。びっくりした。「新品同様」という言葉が、これほど「その通り」だったことは、未だかつてない。全くの新品でないことは分かったが、店頭でだって、客が手にすることはある。今回のブツは、そのレベルだった。というか、マジで「新品」だった。カートなんか、ビニールの圧着すら開封してなかった。こういう正直な出品者様ばかりだと、世の中もっと幸せになれるのにな。

重い。亜鉛のモデルガンだから当然だが、曲銃床のため、右手の握りはどうしても水平に近くなり、前方の重量を支えにくい。その代わり、左手でしっかりと引きつけて支え、頬付けをするとライフルのようにしっくり来る。逆に腰だめ射撃だと、左手で支える部分に困る。マガジンとトリガーガードの間の空間は、手の小さい俺の手でもやっとというスペース。ゴッツイ手の熊のようなロシア男たちでは、この空間で支えるのはキツイのじゃなかろうか。ちなみに、この空間にはマガジンキャッチがあって、前方へ動かすとマガジンがリリースされてしまう。本来なら、このマガジンとトリガーガードの間の空間に左手を置くことは、危険だ・・・左手によってマグキャッチがかんたんにリリースされてしまう不慮の事故のおそれアリ。しかし、しかしだ。ソ連人もバカじゃない。いや、実際に国土消失、民族消失の危機に際して、お馬鹿な兵器造るようなバカはいないな。何がすごいって、マグキャッチ。大きくてリリース操作がやりやすいのだが、その大きなレバーは、銃床に対して水平になるように折り曲げられる。だから、マガジンとトリガーガードの間の空間に左手を置いても、実際にはマグキャッチを不意にリリースしてしまう事故は起き得ない。「マグキャッチレバーを折り曲げ可能にする」たったこれだけのことだが、実用的でかんたんで確実な設計だ。

さて、腰だめ射撃での左手の置き方であるが、もう一つはバレルジャケットを持つ方法。これだと、確実に銃を保持できる。ただ、バレルジャケットの放熱穴は大きく、手袋無しでここを握ったら、指がバレルに触れる可能性が大きい・・・やけどだ。というか、元々バレルジャケットは、握ることを考えて造ってないように思う。さらに、バレルジャケットを握ったまま頬付け姿勢にはいると、左手がマガジンと干渉し、保持しづらい。

いやはや、この銃は左手をどのように使えばいいのだろうか。誰か教えてくれ。

ドラムマガジンは、トンプソンとは違い、普通のストレート型のマガジンと同じように上下方向で出し入れするタイプだ。トンプソンは、左右に出し入れするタイプで、非常に交換作業がしづらい。上下方向で交換できるPPSh41のドラムマガジンは、交換がしやすい。さすが戦場で命をかけてマガジン交換する必要がある軍用銃である。内部構造は、一般的なタイプと同じである。内部にゼンマイ装置があり、円周に沿って並べられた弾に一方方向へとトルクを与える。ただでさえ重いドラムマガジンに、フルロードで71発の実包。相当重かっただろうな。

スリングは、汎用の安い奴が使えない。何故こんな両端細い奴採用するのよ、ソ連。仕方なく、困ったときはシカゴレジメンタルスである。モシンナガンのスリングでもお世話になった。ここなら絶対にあるだろうと探したら、あっさりと見つかった。革製は高いし、なんかこの銃に雰囲気的に合わない気がしたので、布製にした。マルイの銃とかにつける国産のスリングより安かったので驚いた。モシンナガン用と同じように、メインは布(コットン)製で、両端に革。何でこんな凝った造りにするのか。責任者を出してほしい・・・ヨシフさん?だったら遠慮しとく。

さて今回は、年度末の仕事によって、ただでさえ少ない生命値をすり減らしているので、あまり詳細なレポートができない。分解とかは、また今度と言うことで。

<2007年5月12日追記:陽光の下で撮影:イエローバックの写真群>

 

 

正しいソ連軍。

ライバル

満州でお目見えした可能性がある?
 

スリングはシカゴレジメンタルスで実物中古をGETしたぞ。びっくりするほど安かったぞ。

御三家のうちの2丁。MP18買うしかない?

マガジンにある紐取り付け金具。マガジンでかいからな。

バレルジャケット。意外に工数は多そうだ。
 

同じ曲銃床のSMGなのに、百式は左手の位置が明確になっている。PPSh41は、どこに左手がデフォなの?

ごちゃごちゃ

マグキャッチ。作動状態。前へ押せばマグは外れる。
 

マグキャッチを折りたたんだところ。秀逸な設計。

マガジンの後側。

マガジンの前側。取り付けは後部のみに依存する。

ここからマガジンへの装弾。まず、前にある金具をずらしてロックを解除する。
 

前側の蓋が外れる。

(1)の部分に、ラッチが見える。(2)の方向へ、ゼンマイバネによってトルクがかかる。すると、装弾板に(3)の方向へトルクがかかる。

弾を並べていく。

その後、中央のバネ装置の部分を左へ回し、バネのテンションをかける。最後の1発は、マガジンに残ってしまう。

装弾完了。
 

セミ・フル切り替えセレクタ。少し下に引っ張って前後させる。前でフル、後ろでセミ。

ボルトハンドル。

この位置でボルトハンドル上部を本体側へ押せば、ボルトは固定される。銃を落としたときに、慣性でボルトが後退し、シアに引っ掛かる寸前で前進してしまったら、少なくとも1発発射されてしまう(暴発)。それを防ぐ。

ボルトを後退させ、撃発準備完了状態。

この状態でもボルトハンドル上部を本体側へ押し込めば、ボルトが固定される。所謂通常のセイフティ状態。安くてかんたんで確実な方法だ。
 

リアサイト。簡単な構造だ。

フィールドストリッピング。

本体後部を前へ押すと、ロックが外れて・・・

こうやってボルトにアクセスできる。

銃床板にあるものいれ。このモデルガンの場合、穴の深さは2cm程しか無く、1円玉十数枚程度しか入らない。今度深く掘ろう。