正直に言う。はじめてこのてっぽを見たとき、「ワルサーPPKの粗悪コピー?」と思った。南米あたりで密造される粗悪品だと思った。粗悪品だから、命中精度を少しでも高めるために、PPKよりもわずかにバレルとスライドが長いのだろうと思った。今では反省している。
007でPPKが有名になった影で、この銃は脚光を浴びない。少なくとも俺は、映画なんかでこの銃を見たことがない。PPKのあの寸詰まりのスタイルからすれば、わずかに長いスライドのおかげで、この銃はとてもスマートに見える。が、わずかなバレル(スライド)の延長によって、この銃はPPKよりも「かなり」大きく見える。無駄に大きく見える。・・・俺の中ではこの銃は、かような評価を受けていたわけだ。
それが一変したのがXファイル。シーズン1のあるシーンで、スカリーがこの銃を手にしていた。そのころのモルダーが手にしていた9mmパラ使用のフルパワーハンドガン(P226?)に比べて、7.65mmのこの銃は、スマートな外観もあり、女性のスカリーに似合っていた。しかも、「並である」PPKよりもワンサイズ上であるこの銃は、「女性だとナメたらあかんぜよ!?」というスカリーのキャラにぴったりだった。
単純な俺にはそれで十分だった。この銃が好きになった。
ところが、PPKは売れるのにPPは売れないという一般常識から、この銃は少ない。オクで滅多に見ない。遭っても高価。いくら好きな銃で絶版とはいえ、1マソ以上は出す気になれない。先日、オクでこれが出ていた。トリガーガード後端のピン穴付近が崩壊していると言うことでジャンク扱いで、市場価格の半額で手に入れられた。非常にラッキーだった。確かに、トリガーガード後端部分は崩壊している。よく知られているように、PPやPPKは、トリガーガード前側を引き下げて分解する。そのため、普通はトリガーガード前端が下がったりしないように、トリガーガード後端部にバネでテンションがかけられている。このマルシン製PPは、このバネが異様に強く、トリガーガード後端のピンにもの凄い下向きの力が常時加わっている。だから、この部分を支えるフレームのピン穴付近が崩壊しやすい。
現状ではこのトリガーガード後端を押し下げているプランジャーのスプリングを抜いて、とりあえずピンが無くても、トリガーガード後端はフレームから外れない状態にして、撮影した。幸い、オクでPPKのフレームとスライドとバレルの部品セットが出ているので、それをGETしようかどうか考えている。あるいは、プラリペアによる整形にしようか悩んでいる。いずれにせよ、補修が済んだら、改めてレポートしたい。