第2次大戦後10年目の1955年にカナダに採用されて以来、70ヶ国以上で採用されたバケモノ銃。あのプライドの高い、というかプライドのみに生きると言っても過言ではない英国が、自国製ではない兵器を採用したのは、このFALとハイパワー、M240&249くらいしか例がない。・・・いや、「例がない」と言い切る事にはものすごい不安があるのだが、俺の豊富な(「偏った」「乏しい」「間違った」とも言う)知識の中では見あたらない。いや、ちょっと待てよ?ファイヤーフライがあったな。ダンケルクで大半の兵器を大陸に残したまま撤退して「戦う意志はあるけど、兵器無いしw」状態に陥った英国が、プライドを「棚上げ」して米国からの援助を受け取り、渋々「使ってあげた」M4シャーマンだ。しかしさすが英国、そのまま使うことには抵抗があり、砲を非力な76mm短砲身砲から、「自国製の」17ポンド長砲身砲にわざわざ換装した。列強(独逸や露西亜)が「主力戦車」「砲戦車」のように、機動戦前提の戦車分類をしているときに、「歩兵戦車」「巡航戦車」のような前時代の分類にこだわってた頑固一徹ちゃぶ台飛ばしの国が、他国製戦車になら抵抗なく駆逐戦車造った、と。何という頑固さ、頑迷さ。ちなみに、138両の戦車撃破記録を持つミヒァエル・ビットマンのタイガーI戦車撃破したのは、このファイヤフライ戦車。この時代のそれ以外の「英国製戦車」では、絶対無理。
さて、本題に戻って手元のL1A1を観る。リー・エンフィールドのボルトアクションにこだわり続け、2度の世界大戦を「結果勝利」で乗り切った英国。自慢の「本国艦隊」がジュトランド海戦で「戦術的に判定負け」「戦略的に判定勝ち」程度だったのが1回目。2回目なんか、たった1隻の敵の最新戦艦に対して、最新鋭戦艦と世界で最も美しい巡洋戦艦の2隻で挑んだら、巡洋戦艦は「世界初!」という轟沈を喫してしまい、最新鋭の戦艦も損傷してしまうと言う失態を演じてしまうわ、鳴り物入りで東洋へ最新鋭最強戦艦を送ったら、「世界初!!航空機の空襲のみで沈められてしまった戦艦」の汚名を着せられるわ、敵の2隻の巡洋戦艦には、警戒厳重で絶対勝利の確信で待ちかまえていたドーバー海峡を、すんなりと通過されるわ、「世界最強」の海軍に出番なし。トラファルガーでのネルソンの栄光は、再来しなかった。唯一、強力すぎる海軍の存在は、独逸の「上陸」だけは許さなかったというのも事実である。・・・いやね、独逸は英国上陸にそれほどこだわってなかっただけなんだけどね、東方面の方が主目的だったし。かように、自慢の海軍は、既にこの時点で落日だったわけだ。
世界で最初に戦車を実践に投入し、戦果を挙げた国は?・・・英国です。世界で最初に空母を実用化した国は?・・・英国です。世界で最初に「小口径(短小薬莢だけではない)」の突撃銃を開発した国は?・・・英国です。そう、「戦車」「空母」「アサルトライフル」の生みの親は、全て英国です。でもね、戦車は勝った戦い(WW1st)に満足して、その後運用のレベルアップをしなかったから、次の戦い(WW2nd)ではご存じのように「やられメカ」担当に。空母も開発したのはいいけど、それほど有効性を見つけられなくて、「戦艦による主力決戦の補助」程度の地位に追いやられただけ。でも、アサルトライフルだけは違った。独逸のMP44に刺激されて、各国(米国を除く)が「短小弾」開発にしのぎを削る中、英国は単なる短小弾ではなく、「小口径」に取り組んだ。4.85mm×44弾を自国で開発し、SA80として鮮烈なデビュー。・・・この後の有名な経緯(米国のわがまま)は省くが、結果として短小・小口径弾路線は、見事に政治的につぶされ、英国は落ち込み、グレた。その結果、「ばからしくて、自国開発なんかしてられっか!!てやんでぇ〜〜っ!!」と江戸っ子なみに開き直り、普段の英国なら絶対にしない行動に出た。全軍に持たせる「主力小銃」を、他国製とした。当然英国にも意地はある、のではなくて意地しかないので、わがままで傲慢で金持ちで強くてクソ生意気な元植民地の米国の銃など採用するわけはなく、他国を対象にした。独逸は敗戦で自主開発できないし、フランスは協調性ないし元々犬猿の仲だし、露西亜は仮想敵国。それ以外で「英国様が満足できる」ものを造れるのは・・・WW2nd中に、英国の暗黒史の一つである「拳銃」で採用実績のあるFNが選ばれた。つか、FNも元々短小・小口径弾の開発で次世代中のめどが立っていたが、米国のわがまま(.308採用)に対する回答も持ち合わせていたわけで、この時点において「.308使用で、まともに制式採用できる銃」は、世界中でFALしかなかったわけだ。かくして英国はL1A1の名証で制式採用。
以上、かなり独断や偏見や誤りがある英国考察であるが、今に始まったことではないので安心して欲しい(意味不明)。それよりも、この国、かなり臆病だと思う。伝統に縛られていると言われているが、伝統の保護下にないと不安なのだと思う。一方、新しいものに対する開発意欲にはめざましいものがあるが、それを定着させて常用する段階で、尻込みしてしまう。そんな悪しき性質を払拭しようと、SA80を強行採用してL85にしてみたら、ほとんどまともに動かない。ジャムる。破損する。重い。左利きには使用不能・・・右利きの兵士の場合でも、物陰からの射撃では左に構えることがあるが、それも不可能。デザインが垢抜けない。SUSATは接近戦では倍率高すぎて使いにくく、遠距離では倍率不足だしすぐ壊れる割には高価。・・・近年希に見る「最悪銃」の汚名を欲しいままにしてしまった。
それでもがんばれ英国!!誹謗中傷になんかめげず。「やられメカ最多産出国」と呼ばれようが、「落日完了しました!」と笑われようが、俺たち(少なくとも「エゲレス好き」さんと俺)は、お前が好きだぞ!!
こんな流れの中、JACだけは俺たち英国ファンを満足させるべく、L1A1をモデルアップしてくれた(詳細こちら)。残念なことに「剛性感皆無」「精度劣悪」「銃身太すぎ」だったのだが、英国フリークとしては至高の一品だった。その後数世紀、FALがモデルアップされることはなかった。で、王立武器廠(KingArms)がFALを全金属製で作製したのだが、残念ながらフルサイズ版は独逸モデルのG1で、英国タイプは空挺モデルや短小モデルのみだった。この独逸モデルのG1と言うのも不幸な奴で、政治的理由で哀れな末路を迎えた。「独逸なんかに使わせたら、今度は独逸製FAL(G1)手にした独逸兵が本国(ベルギー)へ攻めて来るじゃないか!!」と。まぁ、マジノ線抜くために、独逸はベルギーを蹂躙した経緯があるにしろ、他国への大量採用でFN社も調子こいていたんだろう。結果として独逸はセトメ(元々独逸技術者たちの亡命先)のライセンス使ってG3を開発、最大のライバルになるわけだが。
俺は英国製でないだけでなく、開発された独逸ですら採用されなかった(できなかった)G1、欲しいわけではなかった。が、当時、他に選択肢はなく、俺は剛性バリバリの金属製FALが欲しかった。で、いつも通り辛抱しきれずに無理してG1を手に入れた。JAC製FALのパーツを移植すれば、簡単にL1A1に改造可能であるという緻密な計画(ずさんな思いこみとも言う)で買ったのだが、その顛末はG1のページで。
FAL熱も落ち着き、時代はL85A1やSCAR、M16等に移っていった2008年、ひっそりとL1A1が王と星から発売された。さて、どちらにしようか。王製はG1、星製はFNCで経験している。表面仕上げは、王製は見事なパーカライジングのつや消し、星製はセミグロスのブラック、どちらかというと艶あり状態。仕上げ細部を観ても、王製に軍配が上がる。メカ的(撃ち味・・・音とか)には、王製はマルイと同じ感覚。星製はくぐもったメカ作動音で静か・・・こちらの方が好きだ。売りとしては、王製は電動ブローバック。星製はテイクダウン。・・・電動ブローバックの楽しさはL85A1(R85A1とかAKS74MN)で経験済みだが、FALの場合は射撃時にはボルトハンドルは動かない(MP5とかM16と同じ)ので、余り意味はないかと。それよりも、STARの広告にあった実物と同じテイクダウンの方に魅力を感じた。ということで、星製に決定。
まともにショップで買うと高いので、オクを探した。すると、程度のよさげな中古を見つけた。新品相場7万5千程度なのだが、中古と言うことで5万だった。この出品者様、実に誠意のある方で、対応は完璧、梱包も完璧、品物のコンディションも完璧(ほぼ新品、つか、新品!!)。気配りもバッチリで、付属しないマニュアル(ネット上で自分でダウンロードする)のプリントアウトも入れてくれた。最高の出品者様だった。この場を借りてお礼を言いたい「ありがとうございました!!」。最近、本当にオク運がいい。
手にした第一印象・・・重い。いや、それは分かっているからw やはりFNCと同じように、表面はセミグロス状態。特に樹脂部分は艶ありの分類になると思う。L1A1の特徴である角張ったグリップを握り、左手はハンドガードを握る。JAC製に比べて、ハンドガードはかなり丸い。どちらが正解なのか知りたいものだ。首周りの剛性はさすが金属製で、「曲がらない」「折れている」どちらかのフラグしか存在しない。これだけ長い銃でこの剛性・・・手に入れてよかったと思う瞬間だ。
L1A1の最大の特徴・・・セレクタ。セミまでしか回らない。レバー上部の突起がフレームに当たって、セミ以上に回らない。ハイパワーな.308を手持ちでフルオートなど、意味はない!!と。フルオートがまともに使えないから、仕方なくセミで常用する・・・アサルトライフルじゃなくて「バトルライフル」と呼称される所以だ。悲しいのは、「設計段階からセミ常用」ではなくて、「フルオート無理なので結果としてセミ常用」・・・今の企業でこんな「製品化して発売後に欠陥発覚、妥協した限定使用がデフォ」なんて製品出したら、関係部署全員更迭だぞw でもね、FN側にも言い分はある「米国だ!!.308押しつけてきた米国が悪いんだ!!」とね。 この星製のL1A1、レバー上部をカットしてセレクタが回るようにしさえすれば、フルオートは可能だそうだ。そのための専用セレクタも売っているそうだ。・・・バカか?そんなことする奴はバカか?セミオートのL1A1改造してフルオート可能って、それL1A1じゃないじゃんw フルオート欲しかったらM16系でも買っていればいい!!L1A1は「セミオート・オンリー」、これが正しい。
ストックは細く、王製のG1のようにラージバッテリーを使用・・・は無理。ミニかウナギのみ。これは嬉しかった。FAL(特にL1A1)は、あくまでもすらりとスマートであってほしい。
ボルトハンドルは実物通りの構造で、折りたたみ式。折りたたむ方向へ常にテンションがかかっているG3&MP5形式とは違い、折りたたみ状態と起こした状態の2カ所で軽いロックがかかる。折りたたんだときには、ハンドル根本のラッチがフレームに噛み込み、ハンドル自体をロックするようになっている。かちりとした動きで、好感が持てる。
リアサイトは王製のように「アジャストの意味がない水平配置」ではなく、きちんと後方へ向けて斜めになっている。折りたたみ式のリアサイトは、正直クソだ。これは模型なのでロックがゆるいのかも知れないが、ちょっとした衝撃で寝てしまう。とっさのサイティング時に限って、リアサイトはおねんねしている。六四式共々、やられメカ要素だ。
さて、星製ウリの「実物と同じテイクダウン」である。フレーム左側面後方にあるテイクダウンラッチを後方へさげる。マガジン後のピンを支点として、フレームがM16のように折れ曲がる・・・はずなのだが、電動メカのノズルがチャンバーに入ったままなので、数ミリしか折れ曲がらない。マニュアルには分解関係は一切無いので、ノズルをチャンバーから引き離す方法を探してみる。是非、実物と同じテイクダウンを写真に納めようとハッスルしていたのに、残念だ。
今日は時間がなかったというか、マクロス7全話観たので疲れているというか、フロンティアを最初に観てから第1期全話観てゼロ観てからセブン全話観て疲れたというか、分解できずごめんなさい。また今度。