正式採用が1898年。三八式が1905年、モシンナガン(5連発)が1891年、リーエンフィールドNo.1MK3が1907年、スプリングフィールド1903が1903年。第一次世界大戦当時の各国主要ライフルだ。
モーゼルライフルと言えばKar98kが一般的で有名でデフォだが、その原型はGew98なわけだ。19世紀最後の10年と21世紀最初の10年、この20年の範囲で見る限り、ライフルは「長い」。あまりに長すぎる!ということで、第二次大戦では「Gew98はKar98kへ」「三八式は九九式へ」と短縮化される。スプリングフィールドはガーランドへ進化し、ロシアは長さに無頓着で、英国は元々短かった。Kar98kのKarは騎兵銃という意味だから、短い。さらに末尾のkはクルツ=短いと言う意味なので、「(元々短縮形の)騎兵銃をさらに短縮したモデル」という意味になる。が、それほど短縮されているようには見えない。下の写真群で確認して欲しい。
さて、19世紀終わりから20世紀初めにかけての各国軍用銃が、軒並みToyガン化される中、「三十年式歩兵銃」と「イタ公のライフル」と「Gew98」はモデル化されなかった。どうしてもモデル化されなかった。頑固に頑ななまでにモデル化されなかった。三十年式とGew98とイタ公のライフル(まぁ、これはどうでもいいのだがw)を夢にまで見て我々40代は今日まで生きてきました。
先日、久しぶりに本屋でCMを立ち読みしていたら(買えよ!w)、こいつが載っていた。Gew98。ヤヴァイ。マジヤヴァイ。まず予算。今は金がない。いや、今まで金があった試しはないのだが、この時期は物いりな時期。十四年式のガスブロも、前後期両方同時はキツいから後期型だけにした。なのに「Gew98・・・9万円オーバー」と。鬼かオマエは!?と。血も涙もない人間の姿をした魔物だ!!これほど永い永い年月待ち望んで、その熱き思いを心に納めきれず書きためた「Gew98に捧げる詩」のノートが5冊を突破し、会議中にふと気づけば、レジメの余白には「Gew98」のいたずら書きが延々と・・・(当社比)。一番金のないこの時期に「限定150丁」と。「限定」と。「限定」と切られたら、こちらも覚悟を決めるしかない。きっと発売当日は、CAWはじめ世界各地のToyガンショップの前は、徹夜組の長蛇の列になるに違いないし、数百万分の一の確率に打ち勝って手にできても、無事家まで持って帰ることはできず、買えなかった人たちの暴徒の群れに襲われ、きっと命まで落とすことになるであろう。・・・金は後回しだ。重要なのは「Gew98」だ!!その他のことは些細なことに過ぎない。
Firstに予約を入れる。「とっくの昔に、当店割り当て分の予約は埋まりました。徹夜組ですら予約できなかったのに、オマエ、バカ?」と言われることを覚悟した。そんなことを言われたら、俺の繊細でナイーブでザイールな心は壊れてしまうであろう。さあ、勇気を持って!!
「予約おk。毎度あり!」と。俺はなんと運がいいのだろう。全世界50億人のGew98ファンからの熱き予約合戦に打ち勝ち、俺はGew98を手に入れた。
今回CAWから突如衝撃のリリースが為されたGew98bは、CAWがCMCの金型使ってKar98kをリバイバルさせた、その延長な訳だ。木部を除き、新規制作のパーツは少ない。実にリーズナヴォーな製品だ。
箱から出して手にしてみると、懐かしいCMC製Kar98kの感触。CMC製、大事にとっておけば良かったと、改めて後悔する。カートはFG42に付属してきたダミカを使ってみる。とはいえ、まだ装填はしていない。ボルトがレシーバに馴染んでからでないと、カートを変形させてしまうおそれがあると言う特性は、以前持っていたCMC製と同じだ。
一通りいじり回してから、各部を子細に観察。ストック下部には、騎兵銃ではなく歩兵銃の証であるスリング取り付け部がある。ネット調べてみたら、FG42の後ろ側と同じ取り付け方法だった。
実銃用参考写真
が、ここで問題に気づく。問題点1:前側のスリング取り付け部が騎兵銃と同じ。え?マジ?ネットで調べた写真では、リアバンドの下にスリング取り付け部が確認できるのだが、この銃にはそれはなく、この銃の原型となったKar98kのまま・・・横についている。フロントバンド下部の「スリングフック」はあるが、これはリアバンド「下」のスイベルにスリングを通してからスリング先端のリングを引っかけるためのもの。あくまでもスリングを前側で保持するのは「リアバンド下側のスイベル」である。・・・が、そのスイベルは銃の下ではなく横についている。
実銃参考写真
実銃用参考写真
実銃参考写真
実銃用参考写真
問題点2:リアサイトがKar98kのものと同じ。Gew98と言えば、あの有名なエイリアンサイトだ。これ↓だ。
実銃参考写真
が、CAW製はこれじゃない。・・・おいおい。立ち読みで「Gew98発売!」と見たときには舞い上がってしまって、この重要な点のチェックを怠っていた。が、ネットでこんな↓のも見つけた。
??あれ?Kar98kではない。左手保持部分にくぼみがあるし、スリングの取り付け部も下側だ。これはGew98だと思う。でも、エイリアンサイトではない。・・・「エイリアンサイトでないGew98もある」のか?不勉強なので、この点ははっきりしない。だから、この問題点2については、今後の事態の推移を見守りたい。
とはいえ、これだけはCAWに答えて欲しい。「スリングの前側は、どうやって装着するのか?」と。実はこの点は、CAWのHPから質問してある。未だに回答はない。「前側は騎兵銃と同じく横側に装着する」→「んなわきゃぁ、ねーぞ!!」、「前側は、フロントバンド下のスリングフックに装着する」→「ほほーぅ。やってみて?是非やってみて?この形状のフックだけにどうやって装着するのか、見せてみて!!」。
404氏の「CAW製Kar98k」レポではCAWに対して散々な評価だったが、今回のGew98については、もっと散々だ。「形状が変」というレベルではなく、「あり得ない構成」なわけだ。さぁ、CAWさん。是非とも答えて欲しい。「スリングの前側はどうやって装着するのか」。
9万円台の買い物である。しかも日本初登場である。よほどこの銃に思い入れのある人しか買わないと思う。そんな人に対して「CAWはこれを売る」わけ?納得できない。上記、問題点二つに対して、CAWからの正式な回答を望む。俺の間違いだった場合は、この場で謝罪する。俺の間違いでなかった場合は、この場で大々的に「CAWについて」語らせていただく。
Gew98とKar98bについて調べた。Kar98bは、Gew98の改良版で、Gew98との違いは「ボルトハンドルが折り曲げ」「リアサイトがシンプル・タンジェント」「スリング取り付けが横」というもので、その他全長等はほぼ同じ。ただし、資料によっては「スリング取り付け部は下部」というものもあり、どちらも写真で確認できた。以下、まとめてみる。
リアサイトを見ると、この銃はどう見ても「Kar98b」。が、ボルトハンドルはめいっぱい直線だから、一致しない。スリング取り付け部は、Kar98bには「下部-下部」も「横-横」両方ともネット上に写真が存在する。どちらも有りのような状況だ。が、「前は横で後ろは下部」という写真は未だ発見できない。スリングフックがあるのならば、やはり前側のスイベルは下部であるはずだ。
・・・いったいこの銃は、なんなんだ?
CAWは公式にこの銃を「モーゼル 98 b」と呼んでいる。しかも「騎兵銃(Kar.)」ではなく、敢えて「ライフル」という言葉を使っている。ならば、 やっぱりこれはGew98に違いない
それとも偽装作?w