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てっぽうのページ

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ガリルARM

 

 

イスラエル製:無可動実銃

本稿のレポート、写真は全て「つかさ」さんのご提供です。

前回の予告どおり、イスラエルのAKことIMI(イスラエル・ミリタリー・インダストリー)のガリルをお送りいたします。堅苦しい文章を書くのに疲れたので、くだけた文章にしようと思います。と言うか柄に合わんので。

ガリルの設計は「5.56mmを発射するAK」を基本コンセプトに、イスラエル国防軍(以降IDF)の戦術に適合するモデファイドを加えていくことで完成したそうだ。その結果でき上がったガリルはAKにFAL、M16のエッセンスを加えたようなライフルに仕上がっている。ちなみにこのガリルは、ポルトガル軍のトライアルで用いられたものだそうで、コンディションがGOOD!ちなみにポルトガル軍では空挺部隊でのみ使用されているそうな。

んで、「みWIKI」さんに聞いたところガリルを何らかの形で採用している国は前述のポルトガル、チャド、チリ、コロンビア(ライセンス生産だが質の悪さで有名w)、コンゴ、コスタリカ、ジブチ、ドミニカ、エルサルバドル(極大射程でも描写されてたなぁ)、エストニア(英語版WIKIにも写真アリ。SARにコンプM2)、グアテマラ、インド(308口径狙撃版)、インドネシア、イタリア(採用理由:AR70にM203が着かないのでグレネーダーのみ支給。M16のマガジンを使用できるようにアダプター付き)、メキシコ、モンゴル、ビルマ、ネパール、ニカラグア、ペルー、フィリピン、タイ、トンガ、南ア(有名なR4)、そして言わずもがなのイスラエル。他にはクロアチアがAPS95と言う名でライセンス生産していたり(見た目全然違うけど)。

こうしてみるとまともに全軍採用してる国少ないなw 南米と東南アジアが多いのは5.56mmが普及してるおかげかな?

 

 

 

一番好きなアサルトライフル、ガリルARMです。それはともかく、いい加減まともな背景で撮影しような、俺w
ガリルと言えば文句なしにカッコいいそのスタイリング。しかしながら基本デザインはヴァルメRk62にクリソツ。何を隠そう、ガリルは元々ヴァルメからレシーバーの供給を受けていたので、ヴァルメのバリエーションと呼べるべき存在なのである。ゆえに間接的にフィンランド製なのである。
・・・一年以上引っ張っておいてこれだ、Rk62とか期待してた人マジでスマンカッタ。


 

 

フロント部分。
バヨネットラグが上向きだけどIMIの工員がボケたのではなく、バイポッドに干渉しない為だとか。このバイポッド、これがまたすんごく使いやすい。収納方法としてはMINIMIのバイポッドに近く、ハンドガードのレシーバー側の付け根にCの字型(Cの切れ目が下向き。ちなみに有名な栓抜きはこの金具の事で、マジで使えました。)の金具がありそこに引っ掛ける感じ。これが取り出しやすく、また適度なスプリングテンションのおかげでガタツキもしないと言う優れもの。戻す時も凄くスムーズで片手でさっと折り畳める!しかもフレキシブルに動くから目標に対して柔軟に対処できる!!オマケに脚底が平たいから床が痛まない!!!
・・・思いっきり褒めたけど、これ以外のガリルの優秀な点って殆ど他から拝借したアイディアなので褒めにくいんだよねOTZ しかも栓抜きのアイディアすらヴァルメからの情報を基に作ったという説もあるし(ヴァルメのマガジンリップで王冠を外すおバカがいたそうな)。でも、このバイポッドは本当に使いやすい。おまけにバイポッド付け根はワイヤーカッターになっている。
余談ながらスリングスイベルの位置がバレルのすぐ横だから耐熱スリングでないと・・・

 

 

 

刻印はホワイトが入って…って何故にAR? これはARMなんだが。ちなみにARMとはアサルトライフルマシンガンの略で、状況に応じて限定的な火力支援も出来るように作ってるんだとか。確かに5.56mmの銃としてはかなり重い部類に入るし、発射速度も650発/分と遅めなのでコントロールしやすそうではある。そのための50連マガジンもあるらしいがあんまり見ないねぇ。
写真ではスタンダード35連を使用、スタンダードでも5発多いお得なマガジン。M16が実質28連なのを考えればこの差は結構大きい。マガジンキャッチにはガードが着いているけど無くても問題なさそう。ちなみに308口径モデルはマガジンの位置が後ろに下がるせいで、このマグキャッチガードがトリガーガードのスペースを圧迫していて非常に邪魔。レシーバーを5.56mmモデルと7.62mmモデルで共用しているがためにこの問題が起きるようだ。
シリアルナンバーの後ろの溝は、スコープマウントを奢る為の物なのだが、現物がなかなか手に入らない。海外サイトで通販ってのもなぁ…時節柄難しそう。

 

 

 

グリップ部分のアップ。AMDのグリップに激似、でも互換は無し。個人的には数あるアサルトライフルの中でも最も握りやすいと思うこのグリップ。角度、形状、感触どれを取っても文句なし、機会があれば一度触ってみたほうが良いですぞ。
トリガーガードはプレス加工にて凹みが付けられており、曲げに対する応力を持たせてある。面取り加工もされていて中指が当たっても痛くならないという素敵仕様。
・・・で、左側面セレクター、通称「ガリルセレクター」だが、無茶苦茶使いにくい。人の親指の構造上、マズル側に押すのは結構容易いがバットストック側に押すのはコツと力が要る。で写真のようにマズルからS・A・Rの順で並んでいるのでどうにも使いにくい。というか、反対側に着いている元々のAKセレクターを小さなレバーで回すので、梃子の原理で回りにくいのは当然なわけで…。セレクターがゆるゆるになればまだマシかもだが・・・。緩すぎると引っかかった時に動きそうで怖い。「らめぇぇぇっ、セレクターまわっちゃらめなのにゆるゆるだからまわっちゃうのぉぉぉ!」みたいな?
・・・えーと、色々とすんません。

 

 

 

どこかで見たことのあるバットストック。どう見てもFALです本当にあr(以下略
ただ、IMIとFNはFALとUZIの相互ライセンス生産で交流があり、全くのパクリというわけでもなさそう。頬に当たる部分はプラスチック巻きになっていて、2本のストックパイプの間に挟まったブロック状の部品もプラ製。パイプとバットプレートはアルミ製。このストック、折り畳みながら固定ストック並みの剛性で凄まじく頑丈。バットプレートのえぐれは、バイポッドにレストしながらストックに左手を添える時にしっくり手になじむ。構えやすさも固定ストックと遜色なく、折り畳みストックの最高峰といっても過言じゃないかも?

 

 

 

ストック折り畳み状態。そういえば最近のAKカスタムもこれに似たストックが着いてることが多いような。
ちなみにレシーバーカバーのリテイニングブロック(Bと刻印されている突き出た部品)がAKに比してやたらと長いのは、ライフルグレネードの衝撃で外れないようにする為。実はAKの意外な弱点として、ライフルグレネードを撃つと、慣性によってリテイニングブロックが動いて、レシーバーカバーが外れるというものがある。それに対処する為長くしたのだそうな。ちなみにAMD65の弟分であるAMP69ではリテイニングブロックにロックが着いていて、外れないようにしている。この対策、AMP69はライフルグレネードを撃つためのAMD65みたいな位置づけなので、あって当然だが、ガリルも同種の対策を施しているあたり、IDF(イスラエル国防軍)がライフルグレネードを重要視していた事が分かる。今はアッドオングレネードが主流なので、不要といえば不要。

 

 

 

レシーバーカバーの上のリアサイト。これもヴァルメのアイディア。とはいえ、サイト自体はガリルオリジナルのデザインで、2段階切り替え式のピープサイト。設定距離は300mと500m。M193弾のバリスティック性能であれば0〜300mはほぼ修正無しで撃ち込めると見た場合、非常に合理的な設定。
ちなみにリテイニングブロックのすぐ左に小さな部品がくっついているが、これはレシーバーカバーのガタを殺す為の部品で、溶接によりレシーバーカバーに取り付けられている。リアサイトが載っているのでぐらぐらする訳にはいかんかったのだろう。そのおかげでレシーバーカバーがちょっとだけ外しにくい。

 

 

 

フロントサイトのアップ。フロントサイトはヴァルメにそっくり、というかほぼ同形。ツールによりエレベーション・ウインデージも調整できるので、ウインデージ調整のできるリアサイトと併せてかなり調整幅が広い。とはいえ実戦においては、基本的にリアサイトのフリップアップのみで切り替えするものとして作られているので、戦闘中にコシコシ調整する類のものではない。ガリルの命中精度はFALと同等の3MOA前後らしいので、まあこれくらい調整できれば必要にして十分と思われ。

 

 

 

またリアサイト・・・だが、ガリルには通常のサイト以外にもナイトサイトというものが備えられている。写真9のUの字型のネコミミモードな部品がソレ。ナイトサイト使用時は邪魔にならないよう、通常のサイトを中間のポジションにする事ができる。
左右に開いた穴の中にトリチウムカプセルが埋まっていて光る…ハズなんだけどすっかり期限切れで真っ暗。
奥に見えてる垂直の棒はボルトハンドル。左手右手問わず使えるように垂直にしたんだろうが、率直に言って掴みにくい上に邪魔なんだよねぇ。

 

 

 

フロント側のナイトサイト。例によってトリチウムは光らない。これだけ手の込んだ造りをしているにもかかわらず、前後のナイトサイトは調整が出来ない。ついでに言うとこの銃、ガスレギュレーターもないので、あくまで決まった仕様の弾薬を使用するという思想の元で作られている事がわかる。さらに関係ないが、ガスブロックとガスチューブの色が全く違う。そもそもガスブロックが黒染めなのに対してガスチューブやレシーバーその他は塗装仕上げ。実用品だからんなもん気にしないというスタンスか。仕上げ自体はまあまあ丁寧なのは流石。

 

 

 

レシーバー右側面。このアングルではもろにAKに見える。ちなみに、レシーバーは切削加工で作られているため堅牢性は十二分。
この写真要らんかったな、書くことがなくなってきたよ。

 

 

 

キャリングハンドルのアップ。位置といい形といい、FALを参考にした事が容易に見て取れる。このキャリングハンドルは二脚を折り畳んでも伸ばしてもバランスを崩すことなく運搬できるので、単なるポン付けではなく良く考えて設置されている。かしめてあるので一応ぐらぐらする事はない。

 

 

 

そんなわけでガリルでした。所有して分かるのは、この銃が実戦に即したものであるということ。ボルトハンドルやガリルセレクターなど少々難点はあるものの、全般的なハンドリングは素晴らしく構えていて疲れが来ない。バカにされている栓抜きやワイヤーカッターも、もしそれらの用途に用いる専用ツールを落とした際には重宝するだろう。作動に信頼があり、コントロールしやすく、命中精度もまあそこそこ。これで文句があるのはストッピングパワーくらいなもんだ(と個人的には思うんだが)。
性能は抜きにしても、昔から憧れの銃がよもや自分の部屋に鎮座する日がこようとはいい時代になったもんだ・・・。「昔から」といってもガリルの歴史は結構浅い。最後にその略歴を軽く述べてみる。
ガリルを語る上で欠かせないのがFALとAKである。1950年代末からIDFよって使用されていたFALは、その威力と射程ゆえ兵士たちから概ね良い評価を受けていたものの、結構な頻度で作動不良に悩まされたという。FALはあまり汚れに強くないというのはよく言われているが、それでもAKなどと比較してでの話であり、特段劣るといったものでもなかったにもかかわらずである。まあミニミにすら満足せず、ネゲフを開発・採用するくらいだから相当過酷な地域なんだろう。また、FALを運用する際はUZIの同時運用が欠かせなかったという。理由は当然、閉塞空間での戦闘に問題があるからだ。またIDFはその創立当初より、車輌梯団を重視した機動戦術を肝要としていたため、長くて大きなFALは作戦に不向きであったという。そして第二次中東戦争においてIDFはソ連がエジプトに供与した新型小銃に遭遇する。AK47である。その後IDFでは第三次中東戦争においてまとまった数のAKを入手し研究を重ねる。さらにその後、M16、AK47、HK33、ストーナーM63、UZIの設計者ウジエル・ガルの試作ライフル、そしてイスラエル・ガリリとヤコブ・リオールの設計したガリルでトライアルを行う。結果は言うまでもないが、ガリルがトップの成績を収め、1973年正式に採用される。結局、制式直後に第四次中東戦争が勃発、程なくアメリカよりM16の供給が始まった事で、ガリルは全軍に配備される事はなかったとか。
それでもガリルは西側で最も堅牢なアサルトライフルとして賞賛されているところを見ると、決して不出来なものではなかったのだろう。
次回は…多分UZIかな?

 

 
 

 

 

<kのコメント>

イスラエルって、スゴイ国だよね。自国の周りの国、全部敵。しかも穏やかな敵ではなく、過激で殺気だった国ばかり。今まで何度も大きな戦争(中東戦争)があったけど、もし負けていたら、イスラエルって国は消滅していただろう、と。「相手を屈服させる」「賠償金」とか言う戦争ではなくて、「相手(イスラエル)を消滅させる戦争」なわけだ。まさについ先日シングルカットされた「ライオン」が似合う国。「生き残りたい 生き残りたい まだ生きてたくなる」。イラクが核兵器開発に着手、完成間近になった(と思われた)とき、ペギン首相は「国際的に非難されようが、世界の中で孤立しようが、我々は生き残る方を選ぶ」と、核開発施設への先制攻撃を敢行した。

イスラエルは「グダグダ意味のないことを言ったりこだわったりしている余裕はない。生き残るためには、勝ち続けなければならない国。」なわけだ。だからイスラエルが採用する兵器は、政治的配慮やら商売上の都合などと言う「ぬるい」選択肢は存在せず、「勝てる(生き残れる)性能」のみが選択理由だ。「ぬるい」戦争または脅威に対して「ぬるい」対処をする「ぬるい」国防部、それを「ぬるい」意識で事実上容認する「ぬるい」国民の国とは、根本的に違う。

だからイスラエルの使う武器には、東西陣営というこだわりもない。その結果、東西冷戦期に一応西側陣営でありながら、AK改(ガリル)を採用した、と。つまりガリルやその元ネタのAKは「マジで生き残りのために戦っているイスラエルから認められた」、イコール、戦闘兵器としての優秀さを認められた、と言うことになる。将来起き得る本来の意味の戦争に勝つためではなく、今目の前にある政治的商売的戦争の結果採用された「単に高額なだけで、優秀と思われるようになった兵器」とは訳が違う。いえね、別に某国の支援戦闘機の話じゃなくてねw

イスラエルという戦闘国家に「最優秀」と認められたガリル、不思議なことに、そして腹立たしいことに、日本でTOYガン化したのはファルコントーイのみ。ここは一つ、メディアに大量出現させて、ブームを待つしかないのか?

つかささん、いつもありがとうございます。次回のUZI、これあまた楽しみです。またヨロシクお願いいたします。