懐かしい。このモデルガンが登場したときのことを、ライブで覚えている。「ブローバックしない」「反動がない」「マズルラッシュがやたらとチンケ」という邦画の特徴故に、当時俺は邦画を嫌っていた。だから邦画で大活躍のこの銃を格好いいとは思えなかった。本当は、結構まとまった良い銃であることを当時から認めていたし、実際、買う寸前までいった。が、邦画の悪いイメージが先行してしまい、結局買いそびれた。
が、年を取ってくるに従い、邦画の悪いイメージを脳内から払拭できるようになってきた。タナカのトカレフを手にしたとき、真っ先にこの銃のことが浮かんだし、タナカのトカレフのページではそのように記述している。
いよいよ本格的に欲しくなり、今更ながらオクを探した。箱や取説付きの上物は高い。私は本体とマガジンとカート数発で十分だ。その条件にあったのがこれ。が、問題点は「塗装してある」ことだった。出品者の説明にも塗装のことや、一部剥げがあることも明記してあり、少々不安だったが、思い切って落札した。で、手にして驚き。
塗装は塗装でも、JACのAR-18発売当時に流行った「メタル塗装」。メタル「風」塗装ではなく、亜鉛「そのまま吹きつけ」塗装だ。自分もJACのAR18でやった。塗膜の厚さが均一になりにくいことと、塗膜の食い付き強度が強くないことが難点。でも、丁寧に仕上げれば、53年(?)規制前の「黒亜鉛」にしか見えないリアルな仕上がりになる。落札したこれは、自分の評価では「良い仕上がり」の1丁だった。確かにエジェクションポートの角などが剥がれてはいるが、正確には「はげている」のであって、パリパリと剥がれているわけではない。この塗装の特徴である「ゴツゴツした金属感」は見事に表現されている。使い古した感じの貫禄がある。
外観に反して、内部は極上の状態だ。未発火で、マガジンには錆びどころか傷一つない。作動は「さすが脂がのりきっていた時代のMGC!」と感じられるカッチリ感満載で、スライドを引いたときの「最初重いが一定以上の力が加わるととたんにスムーズに後退してきて一気に最高端位置まで引ききる」感覚は、長く忘れていた「MGCブローバックモデル」そのものだ。カートが紙火薬仕様なので初期型と思われるが、良くこのコンディションを維持できたなと、出品者様に感謝したい。
引っ掛かるような突起がなく、こじんまりとしているのに力強い。独逸のHScやPPKのようなメカメカしいヨーロッパ的デザインではなく、アメリカンな非常に懐の深いデザインだと思う。ハンマーが露出していないのもいい感じ。
ガバやトカちゃんと並べてみたが、大型銃に囲まれても独特の威圧感で「小さい=非力」と感じさせない。いやぁ、まいったね。何故この銃がガス風呂化されないんだろう。日活のイメージ強すぎ?
やっぱ、えぇわぁー・・・ ホンマに