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てっぽうのページ

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モシンナガンM1891

 

 

フィンランド製:無可動実銃

本稿のレポート、写真は全て「つかさ」さんのご提供です。

今回はモシンナガンM1891です。1917年のロシア革命をきっかけに、フィンランドは独立派の白衛軍と新ソ連派の赤衛軍に分かれ、内戦に突入しました。結果としてフィンランド白衛軍が勝利し、その後紆余曲折を経てフィンランドは独立を勝ち得ます。生誕間もないフィンランド軍は先の内戦で大量に入手したモシンナガンM1891を制式小銃としました。その後フィンランド製モシンナガンは独自の発展をしていく事になります。

フィンランドモシンナガンを紹介するわけですが、刻印などが複雑で調べるのに苦労しました。所々間違っている可能性も大いにありえますのでご了承ください。この時代のフィンランド軍の装備は前述のスオミM1931やラハティL39など個人的に心動かされるものがあります。エイモ・ラハティの設計が殆どですね。余談になりますが、戦後のフィンランド軍装備は…RKm62やKK62などを見る辺り、どうしたんだと言いたくなります。特にあのストックが…。まあ、奥様運び大会なんて事をする国ですからちょっとだけトチ狂ったのかもしれませんw(失礼!)

フィンランド製銃器が好きなのですがもう他には持っていませんし、間接的にフィンランド製のアレをご紹介したいと思います。そう、AKコピーの中でも異色のアレです。

 

 

しかし長いですね。130cm以上あります。ロシアでは弾道が変化するのを嫌い、銃剣をつけたままにしていたそうですが、物干し竿を担いで戦場を駆け巡るようなものといえます。機械化が進んだ現代では考えられませんね。ですが某将軍様のお国では改良型のM1891/30のPUスコープ付きの物がいまだに現役だとか・・・

   
M1891/30型以前の、旧型のガードの無いタイプです。私はガードが無い方が好みですが、実際に使うとなると少々不安ですね。ステップがついたバレルを持つ固体もあるそうです。
   
サイトビューです。オープンサイトは精度的に不利といわれていますが、視界が著しく制限されるピープサイトより周囲の視認がしやすいです。フロントサイトもガードが無いので、大変スッキリしています。
   

旧型のハイライト、クラシックな八角形レシーバーです。このモシンナガンは1927年のTikkakoski造兵廠製のモデルと思われます。基本的にはロシア製のものと大差ありませんが、刻印等に差異が見られます。レシーバーにTula造兵廠の刻印がありますが(1927と刻印されているすぐ下のマーク)、バレルにはTikkakoskiの刻印があるため(逆三角形の中にTが描かれたマーク、写真の一番上)、ドイツなどがロシアから鹵獲したものをフィンランドが購入して、Tikkakoskiで製造したバレルを組み込んだものかと思われます。いわゆるM91ティッカアーリーモデルという物でしょうか?少なくともスリングスイベルがフィンランド型ではなくロシア型の穴が開いただけの物になっている事から、1940年以降に再生産されたM91ではなさそうです。資料不足&勉強不足で詳しい事は分かりません。

   

フィンランド軍用の証、SA刻印です。フィンランドモシンナガンはその後M27(Tikkakoskiで1927年から製造が開始された改良型)、M28(かの有名な銃器メーカーSAKOで製造されました)などを経て最終的にM39カービンに落ち着きます。フィンランドモシンナガンはサイトやスリングスイベル、ストック、バヨネットなどに差異が見られるものの、結局はロシアと同じくカービンモデルに結論を見出したと言うわけです。オリジナルは誰がどう見ても長すぎると言う事ですね。ちなみにM28は狙撃手シモ・ヘイヘの愛銃としても有名です。M28の命中精度は非常に高く、オリジナルを遥かに凌ぐといわれています。

   

リアサイトのノッチごとに4,6,8,10,12と打たれていますが(一番射手側のノッチには数字が打たれていません)、反対側にも2,3,4,5 1/2,7,8 1/2と数字が打たれてあります。レシーバーが古いものなのでひょっとすると帝政ロシア時代のアルシン単位を用いている可能性がありますね。1アルシンは0.7112mですので、4は400アルシンを示すものと仮定し(よもや4アルシン=2.8448mという事はないでしょう)計算すると、400×0.7112=284.48mとなり、反対側に打ってある3の数字を300メートルを示すものと仮定するとある程度合致します。他の数字で計算してもある程度合致している事から、この写真に写っている数字はアルシン単位で間違いないでしょう。反対側に打たれた数字はメートル単位の改良型リアサイトが出来るまでの繋ぎといった所でしょうか。

   
色が全然違いますが一つ前の写真が正しい色と言えます。AKの親玉のような貫禄の、Vノッチ型リアサイトです。エレベーション調整で853.44m(アルシンをメートルに換算)までの照準が可能です。これで実用上十分な気もしますが実は・・・
   
このようにトランスフォームwすると2275.84mまで照準が可能です。ちなみにノッチが写真の位置だとストックに頬付けして狙う事ができません。2キロ先の人間を肉眼で視認することすら難しいような気もしますが、カッコいいので実用性はこの際置いておきましょう。
   
太くて短い2ピースのボルトです。全体的にシンプルなモシンナガンですが、このボルトだけは他のボルトアクションに比べほんの少々複雑な造りをしています。ボルトストップはトリガーが兼ねており、トリガーを引きながらボルトを抜くとレシーバーから外す事ができます。
   

マガジン部分です。モシンナガンの名前の由来が設計者のセルゲイ・モシン大佐とベルギー人のエミール/レオン・ナガン兄弟の名前からきているのは有名ですね。このマガジンはナガン兄弟が設計したものですが、元々別のライフルのために設計されていたものでした。というのも、モシン大佐のライフルとナガン兄弟のライフルでトライアルを行った結果、ナガン兄弟に軍配が上がったのですが、ロシア政府は身内贔屓でモシン大佐の設計を採用、そしてモシン大佐の設計したライフルに、ナガン兄弟のライフルについていたマガジンを取り入れることでM1891として完成させたという経緯があります。

   

マガジン内部です。この通り無可動加工の関係でバネが取り外されています。わざわざナガンライフルから設計を持ってきただけあって、なかなか良く出来ています。このマガジンでは最上段の弾薬にはスプリングのテンションが掛からなくなっており、これによりスムーズなフィーディングを実現し、二重給弾を防ぐことができました。

   

ストックです。スマートでどことなくオールのような形をしています。ストックに対して平行に割れたような筋がありますがここでストックが分割されています。旧日本軍の小銃に多く見られる2ピースストックですね。こうする事で狂いを少なくする事ができます。いわゆるエンジニアリングウッドと同じです。これもフィンランドモシンナガンの特徴の一つといわれています。

 

 

<Kのコメント>

スオミM1931で予告して以来、「無可動実銃のレポ、早くぅぅぅ〜〜〜」という要望が7件(7人)から来た。投稿情報なので、「みんなそれぞれ忙しいですから、今しばらくお待ち下さい」と返信しつつ、自分自身が早く見たかった。そしてついに、こうして情報を頂けた。ロシア(ソ連)と敵対しつつ、微妙な関係を続けた国だけあって、単にそのままコピーするのではなく、独自の改良を続けたようだ。

自分の国が、隣国に侵入されて独立を脅かされる状況って、日本人は経験していない。コードギアスや皇国の守護者なんかを観てると、こうした被占領国の惨めさが「我が身の上で」体験できる(ゴメン、無教養なのでこんな例しか出せない)。このライフルを手にして、フィンランド国軍の兵士たちはどんな気持ちで闘ったんだろうか、なんて、ガラにもないことを思ってしまう。

ボルト部分の写真観て思ったんだけど、ここがKTWアクションの一番残念な部分だ。エアコキの性質上、どうしてもボルトが単なる円筒になってしまうのだ。この写真のように、ボルトハンドル基部自体がロッキング部分になるという、構造的な美しさが再現されていない。

さりげなく本文最後に、次回の予告があるわけであるが、この「AKコピーの中でも異色のアレ」って、何?・・・謎が謎を呼び、衝撃の次回投稿へ!!

つかささん、ありがとうございました。次回の「謎」を楽しみにしています。よろしくお願いします。