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てっぽうのページ

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四四式騎兵銃

 

 

日本製:無可動実銃

本稿のレポート、写真は全て「ありさか」さんのご提供です。

このサイトでもタナカ製の四四式が取り上げられていましたが、手元の無可動を撮影してみました。また、後半で、オークションで手に入れたジャンクのタナカ製と比較してみました。

四四式騎兵銃は日本陸軍の比較的良い時代(明治後期)から日中戦争の大量動員時代にかけて製作された銃ですので、バリエーションが多く、銃剣基部の形状変更はあちこちのHPなどで取り上げられておりご存知だと思います。ここでは、同じ名古屋工廠製の2丁の四四式を取り上げ、表面仕上げに着目してみたいと思います。もし、手元にタナカ製四四式をお持ちの方は比較しながら見てみてください。(後半では自分のコレクションのタナカ製と比較して見ますが)

全体です。パッと見て、そのブルー仕上げに圧倒されます。私は某C社で購入しましたが、棚に並んでいる姿を見て一目ぼれで即購入してしまいました。それぐらい、きれいな仕上げです。また、購入してから気が付いたのですが、名古屋工廠製の1000番台(シリーズ記号なし)で、名古屋工廠で製作がはじまったばかりの製品だと思います。とても薄い感じのブルー仕上げで、油断すると変色しそうな表面です。各パーツの仕上げは三八式騎兵銃と同様にリヤサイトリーフスプリング、ボルトストップ、トリガーなどがストローフィニッシュ、ボルトが白磨き、レシーバー&銃身がブルー仕上げになっています。銃剣は使用できないように折りたたまれた状態で溶接されており、残念ながら起剣することはできません。

次に、もう一丁の四四式と比較してみますが、こちらは仕上げがブルーというより黒染めになっています。セイフティはたぶん他の銃からの転用だと思います。全体的に黒っぽい印象を受けますし、機械工作の跡も残っていたりと、荒っぽい仕上げが目立ちます。当時、騎兵は陸軍では花形であったはずで、いくつかの文献にも、「騎兵には立派な兵器を支給された」、とあります。最初の銃がそれに当てはまりますが、もう一丁は戦時生産の省力型なのかな、と思います。九九式の戦時省略型の話は有名ですが、日中戦争期ですでに四四式の戦時省略を行っていた、つまり、日本の国力が限界に来ていたことを示すより例なのではないでしょうか?その状態でさらに太平洋戦争に突入した日本軍部に対して改めて怒りと、あきれを感じます。

四四式と三八式のリヤサイトは良く似ており、両者同一な物が使われていると思われがちですが、実は全く違います。画像を参照してください。これはリヤサイトとフロントサイトの間の長さの差に由来するものです。廃銃の三八式騎兵のリヤサイトがたまに販売されていますが、四四式には厳密には当てはまりませんので注意してください。とはいえ、後述しますが、タナカ製よりはましですね!

最後にタナカとの相違点です。まず全体仕上げは問題外として、リヤーサイトは全く異なった形状をしています。詳しくは画像を見てください。さらに、リヤバンドのスリングスイベル形状、これも違います。極めつけは銃剣部のフック!私の入手した物は、反対側についています!こんなでたらめありますか??幸い、取り外せるのではずして反対側に入れなおしましたが、まったく・・・。ストックのバットプレートはご存知のソリッド状態です・・・。
 タナカ四四式をリアルにしたい方、先が長いっす!

今まで投稿した騎兵銃を並べて見ました。三十年式、三八式、四四式です。並べてみるといろいろ違いが分かり、興味深い発見があります。次回予告は先祖帰り?三十年式の一個前でしょうか??

 

<2008年4月30日追記>

写真を追加した(ブルーバックの写真群)。

 

 
 
 
 
 
 
 
       
 

 

 

<kのコメント>

神、またまたキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

俺の四四式は、・・・四四式は・・・、ああ〜〜〜〜!!!バカ家族が憎い!!

済みません、取り乱しました。例のバカ家族のトラウマが再発しましたが、そんな苦い思い出なんか吹き飛ばせる情報がここに。

四四式って、やっぱり美しいよね。

折りたたみ銃剣装着済み騎兵銃って、他に例がないわけではない。モシンナガンのカービンとか、中国の56式とか63式とか。珍しいってほどではない。でもね、「美しい騎兵銃」は珍しい。でも探す必要はない。ここにある。四四式がある。

何が美しいって、まず銃口付近。大型の銃剣金具の筒の先端からちょこんと覗く銃身。一応、フローティング状態なので、大抵偏ってるが、それが美しい。銃剣装置の横に、叉銃用のフックが出てるが、洋服かけかオマエはと突っ込みたくなる家庭的雰囲気のフックなのだが、不思議とこの銃についていると美しい。折りたたまれたスパイク銃剣は、銃床の溝に見事に収まり、外から丸見えのモシンナガンカービンや56式、63式のような「おまぬけ」な姿ではなく、銃と一体感があって美しい。リアバンドは、三八式騎兵銃とほぼ同じ造形の後部と、力強い独特な前部の中央で、その両者の造形の違いをブレンドして橋渡しする役目を果たしている。この「最重要ポイントにあるリアバンド」が崩壊しやすいタナカのモデルガンって、いったい・・・。

しかし何度見ても美しい。飽きない。三十年式騎兵銃も三八式騎兵銃も美しいが、四四式は別格。銃剣のために装着できなくなったクリーニングロッドを、銃床尾にこれまたこりに凝った方法で格納するなんて、ありさかさんが本文で言うとおり、「騎兵には立派な兵器」云々がうなずける。軍の目となり、通常の歩兵では得られない機動性を誇り、その突破力で数々の難局を打破してきた騎兵たち。彼ら陸軍の重鎮が手にした騎兵銃。・・・やっぱ、美しい。

親父は騎兵だった。日中戦争で大陸に渡って戦ったそうだ。彼が手にしたのが四四式だったそうだ。ただ、戦争に関しては多くを語らなかったので、ヴァルハラへ逝ってしまった今となっては、貴重な実戦体験はもう聞けない。彼の四四式に対する唯一の感想が、「歩兵たちは、騎兵の銃(四四式や三八式騎兵銃)をうらやましがり、触りたがった。が、触らせると上官に叱られるので、触らせなかった。」というものだ。やはり騎兵は特別扱いの兵たちだったんだな。

タナカの四四式は、ありさかさんの仰るとおり、余りいい出来ではない。中古で手に入れた当時、機関部の隙間を修正するために、グラインダがフル稼働した。ボルト周りに至っては、修正作業をあきらめた。銃床尾にあの「銃剣装置の次に重要な」クリーニングロッド格納部が省略されているし。しかも、モールドすらない省略方法。銃剣部分に力を使い果たしたかタナカ? また、リアサイト付近については、中古で手に入れた当時から「欠損」だったので、形状が違うとか以前の問題でした。ここは、「タナカよ!!ガスボルトで全力の力作として三八式騎兵銃、四四式騎兵銃、三十年式騎兵銃を新規開発してくれ!!」とお願いしたい。

ありさかさん、いつもいつもつもありがとうございます。次回以降もご投稿いただけるようで、歓喜の涙に溺れています。やっぱボルトアクション、最高ですね!!またよろしくお願いいたします。

皆様へ:ありさかさんも、皆様の無可動実銃への感想をお知りになりたいようです。是非、お願いします。私に頂ければ、私からありさかさんへお届けします。